連続起業家が生み出す新しいコインランドリー文化「好きなことで生きていく」のではなく「好きなことと掛け合わせていく」
LAUNDRY-CAT | 住所:東京都中野区中野5丁目60−2 ライオンズプラザ中野 1F |
マンガやアニメにまつわる店舗が集まる「中野ブロードウェイ」を中心に、漫画・古着・爬虫類などサブカル色豊かな中野。
新宿まで約5分、東京駅まで乗り換えなしで、都心へのアクセスは抜群。若者からファミリーまで人気の高い街として知られています。
そんな中野駅近くに位置する「コインランドリー&古着屋 LAUNDRY-CAT」。イベントを本業とし、頻繁に海外出張しているオーナーが「人に会わないビジネスが主流になる」と、コロナ禍に陥る前から将来を予測し、2020年3月にコインランドリーをオープン。
業績不振で在庫を抱えているアパレル業界の助けになればと空きスペースで「古着屋」を始めました。
今回はオーナーの川村さんに、お店に込めた思いや今後の展望についてお話をお伺いしました。
小型洗濯乾燥機「マイプロジップ」があったからこそ、コインランドリー経営を決意した。
コインランドリーに古着屋さんを併設した経緯について教えて下さい。
最初はカフェを経営していたのですが、2020年の1月に病気になり入院しました。その後、新型コロナウイルスが話題になり始めた2月は本業のイベントの仕事で海外にいたんです。
当時の日本は、そこまで被害は出ていなかったのですが、海外の状況から考えて「これからの時代は、人と会わないスタイルのビジネスがトレンドになるに違いない」と確信し、帰国後コインランドリーをオープンさせました。
その後、アパレル関係の知人から、年度末で在庫を抱えて困っているという話を聞き、コインランドリーの空きスペースで洋服を売ることで、少しでも助けになれたらと「古着屋」のオープンを決めました。
「コインランドリー&古着屋 LAUNDRY-CAT」という店名ではありますが、商品の80%は新品で、お値段以上の商品がたくさんあります。在庫として倉庫に眠るはずの洋服が、お客さんの目に触れて着てもらえたら嬉しいですね。
コインランドリーが先だったのですね。数あるメーカーから弊社を選んだ理由を教えてください。
エレクトロラックス・プロフェッショナルの小型洗濯乾燥機「マイプロジップ」に惚れたからです。お洒落なデザインと価格、そして電気式200ボルトが素晴らしいと思います。「マイプロジップ」との出会いがあったからこそ、コインランドリー経営に舵を切ったと言っても過言ではありません。
乾燥機はガス式の方が電気式よりも早く乾きますが、ガス式は設備工事が必要になります。このマンションで新たにガス管を通すとなると、大家さんや管理会社に許可を得なければいけません。工事代は決して安くありません。
新たな挑戦へと背中を押してくれた「マイクロジップ」は、まさに「LAUNDRY-CAT」の救世主だと思います。しかも、このコロナ禍で、高温乾燥、殺菌してくれるのは本当にありがたいです。
マイプロジップは、病院や老人ホームからの問い合わせが絶えないというのも納得できます。エレクトロラックスさんの「マイプロジップ」と出会って「LAUNDRY-CAT」をオープンできて本当に良かったと思います。
弊社の機器がお役に立てて嬉しいです。お客さんはどんな方が多いですか?
「LAUNDRY-CAT」が入っているマンション住民は、ほぼ全員が利用者です。このマンションは、一見ファミリータイプのようですが、単身向けで各部屋に洗濯機を置くことができない設計になっています。
近くにコインランドリーはありますが、街灯が薄暗く、女性は少し入りにくい雰囲気なんです。
マンションの1階で喫茶店を経営していた頃から「ここにコインランドリーを作れば、みんなが喜ぶだろうな」という思いはずっとありました。
コインランドリーをオープンさせて、マンション住民はもちろん、周辺の飲食店からも「タオルがふわふわになる」と喜ばれています。つい最近も「このコインランドリーができて、マンションの資産価値が上がった」という言葉も頂きました。
みんなの悩みを「コインランドリー」で解決するなんて素敵ですね。ところで、古着はどのようにして販売しているのですか?無人店舗とのことですが、防犯対策について教えて下さい。
古着は券売機のチケットで購入してもらっています。防犯対策ですが、まず券売機を無理やり開けようとした場合には通知が入ります。
また、精度の高い防犯カメラを設置し、常にスマートフォンからチェックできる体制を整えています。
それから、隣の飲食店の常連さんは街の防犯の要となる人達で、親しくお付き合いさせてもらっています。何かあった時には守ってもらえるという安心感があります。
オーナーの人柄が見えるコインランドリー。あらゆる仕掛けでお店を盛り上げていく。
コインランドリー経営を行う上で大切にしていることはありますか?
コインランドリー経営は「不労所得」というイメージがあるかもしれませんが、「不労所得」だと思ってやってもなかなか上手くいかないのではないでしょうか。
オーナーの人柄や情熱などが伝わってくるお店に、お客さんは自然と集まります。手間と時間をきちんとかけて、オーナーが心から好きなものや興味あることにいかに「コインランドリー経営」に結びつけるかが重要だと思います。
この「LAUNDRY-CAT」も、暗かった床と壁を改装し、深夜の無人営業でも温かい雰囲気を感じてもらえるようにしました。それから、洋服が映えるように、白熱灯から暖色系のLEDライトに取り替えています。
今は、サービスで洗剤を置いているのですが、将来的には個人で所有している「ガチャガチャ」の機械に洗剤を入れて100円で販売したいと考えています。
「LAUNDRY-CAT」は、コインランドリーの中でもかなり異色なのではないでしょうか。
でも、これからの時代、お客さんがお店に入った時に、オーナーがいなくても「きっとこういう人なんだろうな」と想像できるようなお店作りが大切だと思います。
今後の展望などはありますか?
ランドリー内でも間仕切り等をすることにより飲食店営業許可が降りたので今月より季節に合わせて「かき氷屋さん」を営業する予定です。コロナ禍でアルバイトを減らされて困っている方などに売場をお任せしたいです。
それから、土日は不定期ではありますが「古着屋」のバザーを企画しています。バザー目的でお越し頂いた客さんに「コインランドリー」があることに気づいて貰えたら、こんなに嬉しいことはありません。
都会のコインランドリー経営は「100〜150m以内に住んでいる人」に対して、いかに「コインランドリー」に気付いてもらうか、そして通ってもらうかが勝負ではないでしょうか。
かき氷やバザーなど楽しいイベントを通じて、中野5丁目のみなさんに「LAUNDRY-CAT」を知ってもらいたいです。
最近、Google Myビジネスに登録しましたが、想像以上に見てくれる人がたくさんいて驚いています。今後は、MEO対策に加えて、Instagramも積極的に活用し、「LAUNDRY-CAT」に気付いてもらうきっかけになればと思います。
まとめ
中野というサブカル色豊かな街にマッチし、オーナーさんの人柄が店の至るところにまであらわれている「Laundry CAT」
まさに「コインランドリー」×「古着」で独自のブルーオーシャンを生み出しているように感じました。
私たちは、コンビニなどに行くとサービスがすべてマニュアル的で、「もう少し人間的な暖かさがほしいな」と感じてしまいますが、逆にすごくフレンドリーで、サービス精神が旺盛過ぎるお店も少し疲れてしまいます。
もしかすると、Laundry CATのような無人店舗だけど、オーナーさんの人柄が店内に見え隠れするぐらいのお店が一番居心地が良いのかもしれません。
カフェなどの運営経験がある川村さんだからこそ、作り出せる街の小さなサードプレイス。
マーケティングの世界では、「単純接触効果」という言葉がよく使われます。これは、好き嫌いではなく、単純に消費者との接触回数が増えることで、脳がそれを効率よく処理するようになっていくことで、自然とそのブランドやサービスが好きになっていくという考え方です。
川村さんのように自分の好きな事でお客さんとの接点をつくり、コインランドリーの存在価値を高めていくというやり方は、周りと差別化をするという意味で大きな強みになっていくことでしょう。
「好きなことで生きていく」のではなく、「好きなことと掛け合わせていく」
連続起業家である川村さんの新しい「掛け算」に今後も注目していきたいと思います。