ある調査によれば、犬や猫を飼っている世帯は全国に1300万世帯もあるようで、犬や猫以外のペットを合わせればその数はさらに大きくなり、約3世帯に1世帯は何らかのペットを飼っていることになります。
近年では、こうしたペットは、親、兄弟、配偶者、子供に次ぐ「第5の家族」としての側面を帯びるようになりました。
2015年時点での国内の犬と猫の飼育数は約2000万匹にも上り、この数は国内の15歳未満人口の1600万人を大きく上回り、さらに最近はペットを家の中で飼うことが当たり前になったことから、ペットの存在感は相対的に大きくなる一方です。
こうした背景もあり、現在、国内のペット関連市場は約1兆5000億円規模にまで達しており、国内では数少ない成長市場として注目されています。
そんなペット関連市場で、コインランドリーの存在に注目が集まりつつあります。
ペットの衣食住に求められるレベルが人間並みに高まっている
もはや家族同然の立ち位置を獲得したペットは、伴侶動物と呼ばれるようになり、愛玩の対象としてだけではなく、人間の精神活動や社会活動と深く関わる存在として役割が見直されています。
人間と同じように扱われるようになったペットに対するサービスは、年々多様化しており、昨今では犬の衣食住からお別れに至るまでのフルサービスが浸透してきているのです。
例えば、コンビニへ足を運ぶと、ペットフードが拡大していることが手に取るようにわかります。近くにホームセンターがなくとも、コンビニで味や健康にこだわったペットフードを購入することができるようになってきました。
ペット関連商品が充実する中、ニーズが高まってきているのがペット用品の「洗濯」に関するサービスです。
ニオイや抜け毛が気になるペット用品は、家庭の洗濯機では洗濯しづらく、衛生上の観点からペット用品の洗濯は、多くのコインランドリーで禁止されています。
それに加えて、ペット用品は独特のニオイ、ペットの毛、そして固形汚れなどの問題があり、一般家庭用の洗濯機ではペット特有の汚れを落としきることができません。
ニオイの原因
ペットの体臭は、独特なニオイを放つもの。
ニオイの原因は、ワックスエステルと呼ばれるペット特有の皮脂に菌が繁殖することで発生すると考えられています。
特に犬の場合は、猫と異なり、毛づくろいをしないことからニオイが発生しやすいと言われており、人から出る皮脂とは成分が異なるため、一般的な衣類用洗剤ではニオイを落としきることができません。
抜け毛によるトラブル
春や秋など、生え変わりの時期になるとペットの毛が抜けます。
敷物などペット用品にしつこく絡む抜け毛は静電気が原因となっており、静電気によって抜け毛だけでなくアレルゲンも付着することがわかっているため、放置していると皮膚トラブルの原因にもなるのです。
また、ペットの毛は、人間の毛と比較して非常に軽いため、1週間もの間空中にふわふわと舞います。仮に、人用の衣類と分けて洗濯したとしても、部屋に持ち込むと、アレルギーの原因にもなる毛が他の衣類に付着してしまう可能性があります。
また、人間の洗濯物よりも毛やゴミが洗濯中にたくさん出るペット用品の場合、洗濯機のフィルターを放置していると、洗濯機が壊れる原因にもなるため、家庭用洗濯機での洗濯は適していません。
ペット特有の菌によるトラブル
ワックスエステルと呼ばれるペット特有の皮脂によって繁殖しやすい菌は、ニオイや汚れの原因です。
ペットは何でも口に咥える習性があるため、皮脂によって繁殖した菌を放置しておくと、ペットの口臭の原因にもなり得ます。
最近は、ペットと濃厚なスキンシップをする飼い主も増えてきたことから、こうした菌を放置しているとペットから人間への感染の可能性も高まることでしょう。
ペット用ホテルやペット用介護施設がある時代に、ペット用ランドリーに注目が集まる
ペット用ホテル、ペット用介護施設、そしてペット用フィットネスまで登場するようになった近年では、飼い主の要望も細分化されてきており、こうした細かな洗濯に対するニーズも拡大傾向にあります。
そうした背景もあり、最近ではペット専用のランドリースペースを設け、ペット専用の洗濯機、乾燥機、洗剤を用意した専門店も登場し始めました。
メーカー側でもペット専用洗濯機の開発が進んでおり、エレクトロラックスでは、ペットの洋服、タオル、毛布などをそのまま洗濯できる「ペットケアランドリー」が登場しました。
最近は、都市部でも室内でペットを飼う人が増えてきており、そうした都市生活者やペットショップなどの小規模ビジネスなど、多様化するニーズにマッチしたサービスで付加価値をアップさせるアプローチが注目されているのです。
子供の数が減少する一方で、ペットの飼育頭数は右肩上がりに上昇し、家族の一員として存在感を増してきたペット。
家族の一員としての側面が年々強くなり、それに伴い、膨張し続けるペット関連市場においてペット専用ランドリーの需要は、今後拡大することが予想されます。
国内における数少ない成長産業であるペット関連市場で、ランドリーがどのように支持を集めるのか注目です。
参考サイト
2020年(令和2年)全国犬猫飼育実態調査 結果
巨大産業ペット関連産業。市場規模から海外マーケット(北米・中国・台湾・ASEAN)まで解説。
日本のペット数や種類
ペットを飼っている割合は3世帯に1世帯!ペット保険にはほとんど加入していない
【獣医師が解説】ペットとの生活編:テーマ「ペットのシャンプー」
ペット用品専用コインランドリーシステム「ペットケアランドリー」