土地活用の方法を検討する場合、アパート経営やマンション経営といった不動産ビジネスをまず思い浮かべるという方が多いのではないでしょうか。しかし、それ以外にも土地を有効に活用する方法は多数あります。今回は、その中でも利回りが良いため人気が高い『コインランドリー経営』と、定番の『アパート経営』、この2つの特長を比較してみました。
【アパート VS コインランドリー】初期投資の金額は?
アパート経営とコインランドリー経営のそれぞれの初期費用は、下記の通りになっています。
アパート
アパート経営をするには、まず建物の建設費用がかかります1DKが8部屋あるアパートを建てるなら、費用は2,880~3,600万円程です。規模をもう少し小さくするとしても、最低でも2,000万円以上は必要になります。また、建物の建築費以外にも、外構工事や駐車場敷地費用もかかります。
<内訳>
・アパート建築費 2,880~3,600万円ほど
・外構工事
・駐車場敷地費用
コインランドリー
コインランドリーを経営する際の初期費用は、コンパクトサイズの店舗なら1,300~1,500万円程から始めることが可能です。そのうち1,000万円前後で洗濯機と乾燥機を購入し、残りは内装費や電気工事費、給排水工事費などにあてます。初期投資額としては決して安くありませんが、比較的始めやすい金額です。
<内訳>
・洗濯機・乾燥機 1,000万円ほど
・工事費用(店舗改装、水道ガス電気工事、看板備品等)500万ほど
【アパート VS コインランドリー】利回りは?
利回りとは、支出に対する利益の割合のことです。利回りが10%なら、毎年購入額の10%分の利益があるということで、10年間で購入額を回収できる計算になります。
アパート
アパート経営の利回りには、表面利回りと実質利回りの2種類があります。表面利回りとは、アパートが満室になったときの年間賃料を物件の購入価格で割った数字のことです。しかし、アパート経営には物件の購入費用以外にもさまざまな費用がかかるため、年間賃料がそのまま収益になるわけではありません。それに対して、諸費用を考慮して計算したのが実質利回りです。
築年数が長い物件の場合、表面利回りが8%を超えている物件がたくさんあります。しかし、古い物件は修繕費が高くなる可能性が高いため、実質利回りはあまり良くありません。また、空き室リスクも高くなります。 一方、築年数の浅いマンションは本体価格が高いため、表面利回りは6~7%程度です。しかし、人が入る可能性が高く管理費も安いため、比較的利益を出しやすい傾向にあります。
コインランドリー
コインランドリーの利回りは、一般的に20%前後です。事前に商圏調査をしっかりと行い、集客が見込める土地を選ぶことが重要ですが、駅の近くである必要などがないため、土地代を安く抑え、その分利回りを上げることができるようになります。さらに、コインランドリーは基本的に無人のため、一度経営を始めると人件費はほとんどかかりません。ただ、ランニングコストとして毎月洗剤や柔軟剤の費用、電気代などがかかりますので、赤字のリスクを回避するために、コストパフォーマンスの良い洗濯機・乾燥機を選んでおくことが重要です。
【アパート VS コインランドリー】管理や集客
アパートとコインランドリーを比較すると、管理や集客に関してはどのような違いがあるのかご紹介します。
アパート
アパート経営の場合、住民から家賃を集める必要があります。支払日の翌日には銀行に足を運び、振り込まれているかどうか確認し、振込みが確認できない場合には本人や連帯保証人に督促の連絡をします。延滞が多い場合は大家さんに大きな負担がかかることも。また、年数が経つとさまざまな部分が劣化してくるため、壊れた部分の修繕も必要です。
集客に関しては、入居率は全体として減少しているというのが現状です。立地が良いところであればすぐに入居者が見つかりますが、そうではない場合は常に物件をアップデートし、入居者を募る必要があります。
コインランドリー
コインランドリーの場合、機械にお金を入れる形式で料金を回収するため、利用料滞納などの心配はありません。作業面では、掃除や機械の点検といった管理の必要があります。オーナーが時間をとれない場合はパートやアルバイトを雇って対応することもできます。
コインランドリーの集客でポイントになるのは、どこで経営するのかという立地条件です。駅の近くでなくても問題ありませんが、生活道路沿いや集合住宅の近く、商業施設の側といった利用しやすい場所でなければ集客が難しくなります。
また、昔は一人暮らしの独身男性が利用することの多かったコインランドリーですが、現在はメインターゲットが主婦層に移っています。したがって、明るく清潔感のあるコインランドリーが集客に強い傾向にあります。
【アパート VS コインランドリー】リスクは?
アパートやコインランドリーの経営にはリスクもあります。あらかじめリスクについても考慮しておきましょう。
アパート
アパート経営で大きなリスクとなるのが、空き室の増加です。アパートは入居者からの家賃で利益を得るため、入居者がいなければ利益が出ないことになります。空き室期間が長引くとローンの返済にも影響します。また、建物が古くなってきたら、劣化した部分を修繕する必要があります。アパートからの家賃収入は使い切らずに、修繕費の分を蓄えておきましょう。
コインランドリー
コインランドリーは人件費がほとんどかからない点がメリットですが、基本的に無人であるために、いたずらや両替機荒らしの被害にあっても気づきにくいという点に注意が必要です。しっかりとした防犯対策を取り入れた上で、被害に遭ったときのために保険に入っておくことをおすすめします。
【アパート VS コインランドリー】売上の違いは?
アパートとコインランドリーは、それぞれ月にどれくらいの売上があるのでしょうか。
アパート
家賃が8万円で10部屋あるアパートを経営する場合、単純に考えると月に80万円の収入を得ることになります。ただし、経費や管理会社に払う費用がここから差し引かれることになります。空室が増えた場合は、月の収入額は減ることになります。
コインランドリー
10~15坪くらいのコインランドリーを経営する場合、1ヶ月につき60万円程の利益を見込めます。ただし、オープン当初は利用客が伸びにくい傾向があるため、注意が必要です。年数が経つに連れて認知度が上がると、しだいに顧客が増え、比較的安定した利回りを確保できるようになります。
コインランドリー経営はおすすめの土地活用ビジネス
コインランドリー経営は大きな利益につながるタイプの投資ではありませんが、利回りが良くリスクの低い堅実なビジネスと言われています。また、アパート経営に比べると比較的安い金額でスタートすることができます。活用できていない土地をお持ちの方は、不動産ビジネスだけでなく、コインランドリー経営まで視野を広げて検討してみてはいかがでしょうか。