代表的な土地の有効活用方法4選

土地の有効活用土地は持っているだけで税金がかかる上に、売却するときも税金がかかります。
また、先祖代々の土地を自分の代で手放してしまうというのもやはり気が引けるもので、
そのまま保有しておきながら、なんとか維持費用分ぐらいは土地の有効活用で賄いたいところです。
ここでは、土地の代表的な活用方法を4つ紹介します。

コインランドリー経営

20年前は1万店にも満たなかったコインランドリーの数は、現在2万3000店にまで増加しています。
近年、カフェやドッグランの併設店舗など、地域のコミュニティとしても機能するコインランドリーも人気となっており、一般的なイメージと異なり、利用者層が広がってきています。
コインランドリーで節税を行いつつ、土地の有効活用でリターンを得る方法は十分検討の余地があると思います。
コインランドリー経営の場合、周辺人口が多い、大規模商業施設がある、駐車場が確保できる広さがあるなどの土地をお持ちの方が向いていると考えられます。
尚、「第一種低層住居専用地域」に指定されている土地では、コインランドリーの開業ができませんのでご注意ください。

コインランドリー経営には、以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】

・高利回り
コインランドリー経営は10〜15%程度の利回りが得られることが多く、5%程度が相場のアパート・マンション経営等と比べて比較的高い利回りを実現することができます。コインランドリーに適した立地で事業を始めるのであれば、15%程度以上の利回りも期待できます。

・維持コストが低い
賃貸不動産であれば、外壁の補修などの大規模修繕が少なからず必要となり、ランニングコストがかなりかかります。
コインランドリーでは、最低限の補修で済み、洗剤等の在庫を1〜2か月分抱える程度でランニングコストを抑える事ができます。

・節税になる
コインランドリー経営では、個人・法人どちらでも以下3つの税制優遇を利用することができます。
※中小事業者のみ。一定規模以上の会社では利用できません。

土地の有効活用

・中小企業経営強化税制【制度詳細
・生産性向上特別措置法に基づく固定資産税の特例【制度詳細
・小規模宅地等の特例【制度詳細

節税の方法等の詳細は、こちらの記事で解説していますので、興味のある方は是非ご参照下さい。>>コインランドリー経営で大幅節税 ~利用できる3つの優遇税制~

・人的トラブルがほとんどない
コインランドリーは、機械が24時間働いてくれますので、従業員や仲介業者とトラブルになることがありません。
また、利用者の方もスポットでの利用となるため、賃貸不動産のように入居者間のトラブルに巻き込まれる恐れも少ないです。

・景気に左右されにくい
コインランドリー利用者は、リピート率が高く、また日常生活に必要なものであることから、景気に影響されにくいビジネスとなります。
かつては、家に洗濯機の無い方が利用者層となっていましたが、近年は家に洗濯機はあるものの、一気に洗濯・乾燥を終わらせたい、時短で済ませたいなどのニーズで需要が増加しています。

 

【デメリット】
・初期費用がかかる
建設費用、設備費用、配管工事、内装費用などがかかり、概ね2,000万円〜3,000万円ほどの初期費用がかかります。
一方、近年は銀行の融資金利がかなり低い状況が続いていますので、借入を検討されても良いと考えられます。

・差別化が図りにくい
洗濯〜乾燥という部分では、競合店と差別化が図りにくいものとなります。
最近では、カフェやドッグランを併設することで、より利用しやすい店舗運営を行う事業者も増加しているため、地域性に沿って差別化を図るのも良いと思います。

トランクルーム経営

トランクルーム経営

トランクルーム経営とは、所有している土地の上にコンテナを設置し、個人や企業の物品を収納する倉庫として貸し出すものです。
屋外型トランクルーム経営の場合、ある程度広さが必要、車での進入が容易である、人口が多い地域である、競合が少ないといった条件を満たすことが望ましい為、実際に土地活用としてうまく利用できる方は限られると考えられます。

トランクルームは以下のようなメリット・デメリットがあります。

【メリット】
・初期コストが安い
土地の上にコンテナを設置するのみで、アパートやマンションのように水道や電気工事が必要ない為、比較的低コストで実施することが可能です。
概ねコンテナタイプの初期費用は、500万円〜1,000万円程度が相場となり、修繕費等もそれほど心配しなくて済みます。

・高利回り
初期費用や維持コストがあまりかからないので、高利回りが期待できます。
ただし、実施当初は利用者の募集・認知に時間がかかるので、軌道に乗るまでは赤字が続くことが予想されます。

・トラブルが少ない
アパートやマンションであれば、予期せず事故物件となったり、生活騒音で入居者トラブルが起こる可能性があります。一方、トランクルームは荷物の出し入れのみとなりますので、人的トラブルがほとんど発生しません。
また、必要な設備も最小限で実施できますので、不動産でよく起こる水道管の詰まりなどとは無縁となり、機材のトラブルも少ないと考えられます。

・継続利用者が多い
トランクルームは、居住用物件と比較して、一度契約したらある程度の期間継続して利用する層が多くなります。また、退去時の清掃も1日程度で済みますので、利用者の入れ替わり時点の収入減少を抑えられます。

・年数経過による賃料下落が少ない
居住用の場合は、やはり外観がきれいで築浅物件が好まれます。一方、荷物の保管のみであれば、そこまで外観を気にする方は少なく、老朽化が進んでも、あまり賃料を下げずに集客を行うことが出来ます。

 

【デメリット】
・軌道に乗るまでに時間がかかる
トランクルームは、いまだ利用者層が限られ、居住用不動産と比較して認知に時間がかかります。概ね、2年程度かかってようやく、稼働率が80%を超えるケースが見受けられます。

・一件当たりの賃料が少ない
荷物を保管するだけのトランクルームに、毎月何万円も払う人はほとんどいないのが現状です。例え、毎月10万以上払える層が多い立地条件であったとしても、その人たちは高額な家賃を払い、十分なスペースのある家に住むので不要と考えられます。
実際、トランクルームで人気が高いのは、1万円前後で借りられる物件となっています。

・新規参入者が多い
トランクルーム投資は、他の土地活用方法と比較して高利回りが期待できることから、競合が急速に増加しています。
また、オフィステナントの撤退に伴い、オフィスビルのワンフロアを間仕切りし、屋内トランクルームも人気になってきており、土地の活用という観点からは、慎重にターゲット層と立地条件を検討しなければ、いくら初期コストが安くとも、全く利用者がいないという状況になる可能性があります。

また、従来、上物のコンテナを「器具備品」として7年間という短い耐用年数で減価償却(7年間で徐々に費用化)を行う節税方法が流行っていましたが、税務調査で否認されるケースが増加しています。
否認理由は、「建築確認を取って設置したコンテナは器具備品ではなく、建物であり、建物の耐用年数を使うべき」というもので、15年の償却期間が必要になることがあります。

駐車場経営

駐車場経営

駐車場経営は、かなりイメージがしやすいと思います。他の土地活用方法と異なり、建物の建設が不要となるため、初期費用があまりかからず「ハードルが低い」土地活用方法です。
手軽に始めることができる一方、よく検討せず取り組みを開始し、ほとんど儲からなかったケースも耳にします。
駐車場経営の場合、他の活用方法では利用しにくい狭小地や変形地でも利用が可能です。
街中に土地があるが狭小地である、コストをあまりかけたくないという方にお勧めの活用方法となります。

駐車場経営には以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】
・初期コストが安い
土地の造成費用やロックプレート、精算機などの機械設置費用がかかりますが、10台程度の駐車場で約400万円程度の初期費用となります。
また、コンクリートではなく砂利で済ませる・ロックプレートを置かない等で対応すれば、ほとんど費用は掛からなくなります。
さらに、Timesのような管理業者の場合、初期コストを業者が負担してくれるケースもありますので、いくつかの業者に聞いてみることをお勧め致します。

・狭小地や変形地でも可能
不動産を立てるのには向かない狭小地や変形地であっても、土地の形状に合わせて、駐車場をレイアウトすることができるので、運用が難しい土地でも柔軟に活用できます。

・撤退しやすい
初期コストと同様に、撤去時の費用もそれほどかかりません。
その為、コインパーキングであれば直ぐに、月極駐車場であっても契約解除予告により数カ月で辞めることができます。
将来的には、持っている土地に家や事務所を建てたいと考えている方は、このように柔軟性のある運用をされた方がよいと思います。

 

【デメリット】
・収益性が低い
賃貸アパートであれば、建物の階数を増やすことができますが、駐車場経営の場合、1フロア分しか活用できないことになります。
初期コストが低い分、収益も低くなってしまいます。

・固定資産税の優遇がない
駐車場の場合「非住宅用地」となりますので、賃貸アパートのように固定資産税・都市計画税の優遇が受けられません。
尚、相続税に関しては「小規模宅地の特例」により相続税の節税を行うことができる可能性があります。小規模宅地の特例に関しては、前述のコインランドリー経営に関する記事部分で解説していますので、ご参照ください。

賃貸アパート・マンション経営

賃貸アパート・マンション経営

土地活用方法として、まず思い浮かぶのが賃貸アパート・マンション経営ではないでしょうか。
地主の方の土地活用方法として、一時期急速に物件数が増加していました。
新規着工件数は、ある程度落ち着いてきていますが、固定資産税の優遇や不動産所得として所得税の節税ができること、運用効率が高いことから根強い人気があります。
立地条件がよい土地※をある程度の広さでお持ちの方は、検討してみてください。
※駅近、人口が増加している、コンビニ・スーパー・病院が近くにあるなど

賃貸アパート・マンション経営には、以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】
・レバレッジ効果が高い
多くの銀行で、アパート・マンションの建設資金の融資が行われています。
以前は、アパートローンの金利は3%程度が多かったのですが、近年は低金利が続いており、1%前後で融資を行う銀行も増えており、少ない金利負担でレバレッジ効果が得られます。
レバレッジ効果とは、少ない自己資金で大きなリターンが期待できる効果です。
例えば、不動産の目安利回りとされている5%で考えると、手元に1,000万円ある方が5%のリターンを得ると年間50万円の収益です。
一方、銀行から9,000万円を借入し、手元の資金と併せて1億円の運用を行うと、年間500万円の収益が得られます。

・将来の収入の確保
鉄骨鉄筋造りの建物であれば、法定耐用年数も47年とされているように、長期間運用を行うことができます。
また、複数階建てにすることで、同じ土地でもより効率よく運用することが可能です。
そのため、老後資金や年金目的で実施する人も多くいらっしゃいます。

・生命保険代わりになる
銀行から融資を受ける際、団体信用生命保険に加入しておけば、万が一契約者が死亡・重度の障害を負った場合、ローンの返済が免除されます。
残された家族の方が、継続して賃料収入を得ることができ、一種の生命保険としても活用できます。

・税金が安くなる
賃貸アパート・マンションを建てると「住宅用地」となるため、最大で固定資産税が1/6、都市計画税が1/3となり、節税になります。
また、運営当初は建物部分を減価償却費として費用計上していくことができ、不動産所得の赤字をつくることができます。
不動産所得の赤字は、給与所得などと損益通算(赤字と黒字を相殺する)ことができますので、所得税の削減にもつながります。
さらに、借地権割合で相続税評価額が抑えられますので、相続税に関しても節税に繋がります。

 

【デメリット】
・競合が多い
一時期、賃貸アパートが乱立したことから、競合が少ない地域というのはあまり残されていません。また、競合が少ない地域であっても、隣接地に新築マンションが建った場合、家賃の引き下げを余儀なくされるなど、当初計画通りに収益が得られない可能性があります。

・空室・滞納リスク
空室が続くと、その間のローン返済に自己資金で対応する必要がでてきます。
退去〜清掃〜募集までタイムラグがありますので、その間の収入も途絶えてしまいます。
また、保証会社を通していれば問題ありませんが、入居者の家賃滞納リスクも考えておく必要があります。家賃滞納が発生しているものの、なかなか退去してくれず、新規入居者も募集できない状況が続く恐れがあります。

・トラブル対応
居住用となるため、生活騒音や共用部のマナーなど、問題になることが多いです。
また、水道管の詰まりなど設備トラブルにも対応する必要があるため、想定以上に手間がかかることがあります。

・災害リスク
火災保険・地震保険に加入しているとはいえ、半損の場合など修繕に必要な費用の全額が保険でおりない可能性があります。
また、大規模修繕に備え貯金を行っておく必要があり、結局手元に残るお金がほとんどなかったという話も耳にします。

まとめ

土地の有効活用

今回の記事では、眠っている土地を有効活用するための方法をご紹介しました。
せっかく保有している土地も更地のままであれば、宝の持ち腐れとなってしまいます。
その土地が、せめて固定資産税・都市計画税程度のリターンを生むように、立地条件に合わせてどのような活用を行うか検討されることをお勧めします。

尚、各土地活用方法は一長一短ありますので、検討される際は各活用方法を支援してくれる業者からそれぞれ話を聞き、立地条件・将来のライフプランにあった方法を選択されて下さい。

代表的な土地の有効活用方法4選 2023-12-04T00:15:04+00:00 Electrolux Professional