土地活用でガレージハウス経営を行うメリット・デメリットを解説

「ガレージハウス経営のメリットは?」

「ガレージハウス経営の注意点は?」

このような疑問があるのではないでしょうか?

ガレージハウスとは、住宅の1階に車庫を設けた物件を指します。

車好きの方を中心にニーズがあるため、自分で住むのではなく、賃貸物件として貸し出すことも可能です。

しかし、ガレージハウス経営にはデメリットや注意点も存在します。そのため、始める前にそれらをきちんと理解しておくことが重要です。

そこで本記事では、土地活用としてガレージハウス経営を始めるメリット・デメリットや注意点、設計する際のポイントなどを解説します。

本記事を読むと、自分の土地にガレージハウス経営が向いているかがわかり、失敗しない土地活用を行えるようになるでしょう。

ガレージハウスによる土地活用を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

ガレージハウスとは

ガレージハウスとは、車庫と住宅が一体になった物件を指します。

1階に車庫、2階に居住空間を設けた建物が一般的です。

車庫と居住空間を内部で行き来できるビルトインガレージになっており、車から降りたときに雨風に晒されることがありません。

ガレージハウスには、長屋タイプと戸建てタイプの2種類があります。

長屋タイプは、アパートのようにひとつの建物に複数の住居と車庫がある形態を指します。

一方、戸建てタイプはひとつの建物につき住居と車庫がひとつずつある形態です。

盗難防止用のシャッターがついていたり、ショールームのように居住空間から愛車を眺められたりするなど、付加価値をプラスした物件も多く存在します。

土地活用でガレージハウス経営を行うメリット

どのような建物なのか把握できたら、土地活用としてガレージハウス経営を行うメリットも理解しておきましょう。

本章で紹介するガレージハウス経営のメリットは、以下の3つです。

  1. 立地条件に左右されにくい
  2. 小さな土地でも経営できる
  3. 賃料を高めに設定できる

それぞれ順番に見ていきましょう。

1. 立地条件に左右されにくい

ガレージハウスは郊外の立地でも需要が高いというメリットがあります。

入居者は自家用車を所有している可能性が高く、近くに駅やバス停がなくても問題ない方が多いためです。

ドライブできる道路が近くにある場所や、高速道路のインターチェンジに近い場所のほうが、入居者に好まれるでしょう。

しかし、ガレージハウス以外の物件の場合、立地条件のよさがニーズに直結します。

このため、一般的な賃貸物件に比べてガレージハウスは立地条件に左右されにくいといえるでしょう。

2. 小さな土地でも経営できる

ガレージハウスは小さな土地でも経営できます。

前述しましたが、ガレージハウスは1階が車庫、2階以上が住居スペースの住宅です。

そのため、「車を駐車できる」かつ「生活できる」スペースがあれば、ガレージハウスは建てられます。

国土交通省によると、普通自動車1台あたりに必要な駐車スペースは、長さ6m×幅員2.5mほど(約4.5坪)です。

参考:国土交通省|駐車場設計・施工指針について

また、国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」によると、単身者の最低居住面積水準は約7.56坪(25㎡)です。

2人ならば約9.07坪(30㎡)、3人ならば約12.1坪(40㎡)になります。

参考:国土交通省|住生活基本計画における居住面積水準

一般的に、土地の広さに対する物件の割合は60%ほどとされています。

そのため、世帯人数によって異なりますが、15〜20坪ほどの狭小地でもガレージハウスは経営可能です。

3. 賃料を高めに設定できる

ガレージハウスのメリットのひとつには、賃料を高めに設定できることもあります。

賃料を高めに設定できる理由は主に以下の2つです。

  • 車庫がついている
  • 物件数が少ない

まずガレージハウスには、車庫という付加価値があるため、その分賃料を高くできます。

また、物件数が少ないと、競合同士で価格競争が起きにくいため、賃料を高く設定しても借り手を見つけられるでしょう。

物件数が少ないため、頻繁に引っ越しがしにくく、賃料が高くても長期で住み続けてくれる可能性が高いというメリットもあります。

ライバルが少ない領域で、毎月の家賃収入をより多く得たい方に、ガレージハウス経営はおすすめです。

土地活用でガレージハウス経営を行うデメリット

土地活用でガレージハウスを経営するデメリットを把握すると、自分に向いているのか判断できるようになるでしょう。

ガレージハウス経営のデメリットは、以下の3つです。

  1. 空室リスクが大きい
  2. 建築費用が高くなりやすい
  3. 投資効率が悪い

それぞれ順番に解説します。

1. 空室リスクが大きい

ガレージハウス経営は、アパート経営に比べて空室リスクが大きいデメリットがあります。

戸建てのガレージハウスは一棟貸しになるため、借主が退去すると、その建物から得られる賃料が0円になります。

アパートの場合は、ひとりが退去しても他の入居者から賃料を得ることが可能です。

そのため、ガレージハウスはアパートに比べて、空室リスクが大きくなります。

空室リスクを小さくするためには、地域のニーズをしっかりと見極めて、集客を行うことが大切です。

たとえば、田舎で駅や商業施設の数が少なく、車が必要不可欠の地域では、ガレージハウスのニーズは高いでしょう。そのような立地で、地域の不動産会社に集客を委託したり、チラシ広告を配ったりすると、入居者を集められるはずです。

2. 建築費用が高くなりやすい

ガレージハウスのデメリットのひとつに、建築費用が高くなりやすいことも挙げられます。

ガレージハウスは建物内に車庫を設置するため、素材に重量鉄骨が採用されることが多くあります。

重量鉄骨造は木造に比べてコストが高くなるため、相対的に建築費用が高額になりやすいのです。

以下は、木造と鉄骨造の1坪における建築費の相場です。

素材 建築費用(坪)
木造 約70万円
鉄骨造 約90万円

建築着工統計調査の2023年データをもとに試算

また、シャッターや換気用設備などを設置するケースが多いことも、建築費用が高くなる要因のひとつでしょう。

しかし、ガレージハウスは建築費用が高い分、自分で家を建てられない層からのニーズは高いといえます。

3. 投資効率が悪い

ガレージハウス経営には、アパート経営に比べて投資効率が悪いデメリットもあります。

アパート経営はひとつの土地を、複数の世帯に貸し出すことが可能です。

それに比べてガレージハウスは、ひとつの土地に1世帯分の戸建てを建てるのが一般的なので、収益性が低くなる可能性があるのです。

築年数や専有面積、立地によって異なりますが、一例としてガレージハウスとアパートの賃料は、以下のようになります。

物件種別 ガレージハウス アパート
立地 大阪府枚方市 大阪府枚方市
築年数 新築 新築
専有面積 52.72㎡ 28.12㎡/戸
家賃 約13.2万円 約6.15万円

上記の条件で、ガレージハウスと2階建てアパートを同じ広さの土地に建てたとすると、アパートは4部屋ほど用意できるでしょう。満室にできると、アパートであれば月に約24.6万円(= 約6.15万円 × 4戸)の家賃収入を得られます。ガレージハウスと比較して約1.9倍も家賃収入が多くなります。

このため、アパート経営に比べるとガレージハウス経営は、投資効率が悪いといえるでしょう。

ただし、ガレージハウスの場合は、物件数が少ないため、入居者が長期で借りてくれる可能性があります。

入居者を集めさえすれば、経営が安定しやすいといえます。

土地活用でガレージハウス経営を行うときの注意点

土地活用でガレージハウス経営を行うときの注意点がわかると、建てなければよかったと後悔しなくなるでしょう。

ガレージハウス経営の注意点は、以下の2つです。

  1. 固定資産税を節税できないケースがある
  2. 騒音トラブルにつながる可能性がある

順番に解説します。

1. 固定資産税を節税できないケースがある

ガレージハウスは固定資産税を節税できないケースがあります。

通常、新築住宅を建築すると、家屋の延床面積が約36.3坪(120㎡)までのものは、固定資産税が3年間半分に減額されます。

しかし、ガレージハウスは延床面積が約36.3坪(120㎡)を超える場合が多く、超過部分は減税されないため、節税効果が限定的です。

参考:厚岸町|新築住宅に対する固定資産税の減額制度

また、固定資産税の節税に関して、よく勘違いされやすいルールに、建築基準法施行令第2条3項があります。

これは車庫の面積が、その敷地に建てられた建築物の延床面積の5分の1以内であれば、延べ面積には含まれないというルールです。

このルールは延床面積に関するものですが、固定資産税の課税面積と混同されるケースが多々あります。

実際には「車庫が延床面積に含まれない = 固定資産税が安くなる」とはならないのです。

このため、ガレージハウスは固定資産税を節税できないケースがあります。

2. 騒音トラブルにつながる可能性がある

ガレージハウスは、近隣住民との騒音トラブルを引き起こす可能性があります。

シャッターの開閉音や、車のエンジン音などが原因となる場合が多いようです。

とくにガレージハウスが住宅街にあって、深夜や早朝にシャッターを開け閉めすると、近隣住民の睡眠を妨げることになり、トラブルにつながる恐れがあるでしょう。

対策としては、主に以下が挙げられます。

  • 借主にシャッターの開閉をゆっくり行ってほしい旨を伝える
  • 静かに開閉できるシャッターを設置する

上記のような対策を行うと、シャッターの開閉音をある程度抑えられるでしょう。

土地活用でガレージハウスを設計する際のポイント

土地活用でガレージハウスを設計する際のポイントとしては、主に以下が挙げられます。

  1. 大きめの普通車でも入るように車庫の幅と高さを十分に確保する
  2. 開閉音が静かなシャッターを導入する
  3. 車の排気やワックスの臭いを逃すために換気扇を設置する
  4. 眠りを妨げないために寝室と車庫の位置を離す
  5. ガレージ内での作業が快適になるようエアコンを設置する
  6. 工具収納のための壁面収納を設置する

上記のうち、重要なのが1つ目のポイントです。

車庫が小さいと大きめの普通車に乗っている方のニーズを満たせないため、その分だけ借り手の候補が減ることになります。

たとえば、普通車にしては大きい「キャデラックエスカレード」は、種類によって異なりますが、おおむね全長約5,400mm×全幅約2,065mm×全高約1,930mmです。

普通自動車1台あたりの駐車スペースは、長さ6m×幅員2.5mほどですが、車庫内での作業も考慮すると、もう少し大きめの車庫を用意するとよいでしょう。

どのような車でも駐車できる車庫を用意すると、集客がより簡単になる可能性があります。

ガレージハウスに関するよくある質問

最後にガレージハウスに関するよくある質問をまとめました。

よくある質問は以下の通りです。

  1. ガレージハウスのオーナーになるにはどうしたらいいですか?
  2. ガレージハウス経営の初期費用はいくらですか?
  3. ガレージハウスの入居率はどのくらいですか?
  4. 土地活用として他におすすめの方法はありますか?

順番に見ていきましょう。

1. ガレージハウスのオーナーになるにはどうしたらいいですか?

ガレージハウスのオーナーになるには、以下のような手順を踏みます。

  1. 土地にガレージハウスを建設できるかを確認する
  2. ガレージハウスのニーズがある土地なのかを調査する
  3. 施工会社でガレージハウスの設計・建設計画を立てる
  4. 銀行ローンを借りて建設資金を用意する
  5. ガレージハウスを建設する
  6. ガレージハウスの入居者を募集する
  7. 毎月、入居者から賃料を得る

今、土地を所有している方は、用途地域を確認してガレージハウスを建てられるのかを確認しましょう。

用途地域とは、ある地域において、建てられる建物を定めたルールを指します。

土地Aでは住宅を建てられるが、土地Bでは建てられないというようなルールになります。

用途地域は、インターネットで「都市計画図」を調べるか、各自治体の都市計画課で確認可能です。

2. ガレージハウス経営の初期費用はいくらですか?

ガレージハウス経営の初期費用は、建物の規模によって異なります。

そのため、ここでは新築の一例を紹介します。

まず、ガレージハウスは重量鉄骨造が採用されることがほとんどです。

重量鉄骨造の1坪ごとの費用は90万円ほどのため、15坪のガレージハウスを建てるならば、建設費用は1,350万円ほどかかります。

また、諸費用は建設費用の10%ほどが一般的なので、上記のケースならば135万円ほどかかるでしょう。

15坪のガレージハウスならば、初期費用に合計1,485万円ほど必要になります。

以下は初期費用としてかかる項目と、その費用の目安です。

項目 目安
建設費(重量鉄骨造) 約90万円/1坪
設計費 建築費の1〜3%
測量費 約20〜30万円
地盤調査費 約30〜50万円/1ヵ所
水道分担金 約15〜30万円
不動産取得費 固定資産税評価額×3%
登録免許税 固定資産税評価額×0.4%
所有権保存登記 約1〜5万円
司法書士への依頼料 約5〜10万円
印紙税 約1〜6万円

3. ガレージハウスの入居率はどのくらいですか?

全国賃貸住宅新聞の記事によると、ガレージハウスの入居率は99%を超えます。

同新聞によると、愛知県のガレージ付きアパートを開発している会社では、2024年5月末時点で入居率は99%を超えており、十分な需要があることがわかるでしょう。

ガレージハウスの入居率は高く、安定した経営を行うことが期待できるとわかります。

4. 土地活用として他におすすめの方法はありますか?

土地活用でガレージハウス以外におすすめの方法は、主に以下の通りです。

業種 初期費用
コインランドリー経営 2,000〜2,500万円/15〜20坪
アパート経営 建築費
・木造:約70万円/坪
・鉄骨造:約90万円/坪
・鉄筋コンクリート造:約100万円/坪
諸費用(建築費の10%ほど)
駐車場経営 0〜500万円

上記のうちおすすめなのが、コインランドリー経営です。

コインランドリー経営は20坪ほどの狭小地でも経営ができ、節税効果もあります。

たとえば、コインランドリーの店舗を建てると「小規模宅地の特例」が適応されます。

これは約121坪(400㎡)以下の更地を貸付事業以外の事業用の宅地にすると、相続税評価額が80%軽減されるという制度です。

ガレージハウスにはない節税制度を活用できるため、コインランドリー経営はおすすめです。

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まとめ

本記事では、土地活用としてガレージハウス経営を行うメリット・デメリットや注意点、設計のポイントなどについて紹介しました。

ガレージハウスは車庫と住宅が一体化した建物なので、車好きからニーズがあります。

また、立地条件に左右されにくかったり、物件数が少ないため賃料を高く設定できたりするでしょう。

しかし、建築費用の高さや空室リスクの大きさなどがデメリットとして挙げられます。

このデメリットによりガレージハウス経営を行うのを迷う方もいるでしょう。

そのような方は、コインランドリー経営をご検討ください。

洗濯は人間の生活に欠かせないものなので、景気にかかわらず利用されます。

節税効果もあるため、価値の高い土地を所有していて、親族に負担をかけたくない方にはぴったりです。

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