トランクルーム経営の収益性が不安で、始めるべきか判断に迷っていませんか?
トランクルーム経営は、初期費用が少なく、管理の手間がかかりにくいため、参入しやすいビジネスです。
しかし、収益性が低いと懸念される方も多くいます。
そこで今回は、トランクルーム経営が儲からないとされる3つの理由やビジネスモデル、収入と支出、失敗しないポイントなどを解説します。
本記事を読むと、自分の土地でトランクルーム経営を行い、儲けられるのかの判断ができるようになるでしょう。
トランクルーム経営を始めようか悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。
トランクルーム経営は儲からないとされる3つの理由
トランクルーム経営は儲からないとされています。
その理由は以下の3つです。
- 他の土地活用と比較して収益性が低い
- 節税効果が低い
- 競合他社が増えやすい
トランクルーム経営がなぜ儲からないのかを把握できると、投資をしない判断が下せます。
また、儲けるために対策を打つことも可能です。
ぜひ、本章を自分の土地でトランクルーム経営を始めるか否かの判断材料にしてみてください。
それぞれ解説していきます。
1. 他の土地活用と比較して収益性が低い
トランクルーム経営は、他の土地活用に比べて収益性が低いとされています。
つまり、相対的に儲かりません。
トランクルーム経営では1スペースあたり、1ヶ月に数千〜1万円前後しか回収できないのが一般的です。
そのため、スペースを10人に貸した場合、月の売上は10万円ほどになります。
収益性をコインランドリー経営と比較しましょう。
コインランドリー経営だと、洗濯・乾燥で1回あたり700〜1,000円ほどが相場になります。10人の利用者が洗濯と乾燥をすれば、1日で10,000円ほどの売上になります。
毎日、10人に利用されている場合は、10日で10万円ほどを回収することが可能です。
また、トランクルームは月極で貸している場合が多く、月単位でしか集金できません。しかし、コインランドリー経営ならば1日単位で資金を回収できます。
関連記事:トランクルーム投資のメリット・デメリット失敗するケース5つを紹介
2. 節税効果が低い
トランクルーム経営は他業種に比べて節税効果が低いとされています。
トランクルーム経営には、他業種には適用される「住宅用地の特例」や「小規模宅地の特例」「中小企業等経営強化法による固定資産税の特例措置」などが適用されないためです。
適用される特例を他業種と比較しました。
業種 | 適用される特例 |
トランクルーム経営 | – |
賃貸アパート経営 | 住宅用地の特例(個人・法人) 小規模宅地の特例(個人・法人) |
コインランドリー経営 | 小規模宅地の特例(個人・法人) 中小企業等経営強化法による固定資産税の特例措置(法人) |
- 住宅用地の特例:固定資産税が最大6分の1になる
- 小規模宅地の特例:相続税が最大80%軽減される
- 中小企業等経営強化法による固定資産税の特例措置:3年間のみ固定資産税(償却資産)の課税標準額が2分の1に軽減される
コインランドリー経営や賃貸アパート経営ならば、上記のような固定資産税や相続税の軽減措置を受けられます。そのため、支出が少なくなり、手残り金が多くなります。
しかし、トランクルーム経営には軽減措置がありません。他業種に比べて税率が大きくなるため、儲からないとされています。
関連記事:コインランドリー節税のカラクリとは?活用できる税制制度と成功事例を紹介
参考記事:
国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
3. 競合他社が増えやすい
トランクルーム経営は参入障壁が低いため、競合他社が増えやすい傾向にあります。
参入障壁が低い理由は、以下の通りです。
- 特別な資格がいらない
- 個人でも始められる
- 初期費用が安い
- ランニングコストが低い
- 狭い土地でも始められる
同一商圏内に競合他社が増えると顧客が分散するため、1事業者あたりの儲けが少なくなるでしょう。
顧客が分散する問題を解決しようにも、トランクルーム経営はシンプルなビジネスのため、差別化が難しい可能性があります。
その結果、価格競争をすることになり、大きな儲けを得にくいのです。
トランクルーム経営のビジネスモデル
トランクルーム経営の3つのビジネスモデルを知ると、自分の価値観に合わせて後悔しない選択ができます。
トランクルーム経営のビジネスモデルは、以下の3つです。
- 事業用定期借地方式
- 業務委託方式
- リースバック方式
それぞれ順番に解説していきます。
事業用定期借地方式
事業用定期借地方式は、専門業者に土地を貸し出して賃料を得る方式です。
事業用定期借地方式ではコンテナや看板を用意したり、インフラを整えたりする必要がありません。これらの作業を専門業者が行うため、地主は初期費用が不要です。また、トランクルーム経営の売上にかかわらず、一定の賃料を得られるため、収益性が安定しています。
ただし、収益性が低いことがデメリットとして挙げられます。トランクルーム経営の売上が10万円から100万円に上がっても、賃料が変わらないためです。このため、収益性ではなく安定性を求める方に、事業用定期借地方式はおすすめです。
メリット | ・初期費用がかからない ・収益が安定している |
デメリット | ・収益性が低い |
業務委託方式
業務委託方式とは、土地の所有者が投資と経営を行い、集客や管理を業者に委託する方式です。
地主は集金や清掃、集客などの作業を行う必要がないため、負担が軽減されます。そのため、土地の所有者はサイドビジネスとしてトランクルームの経営が可能です。
ただし、管理を専門業者に委託するため、その手数料を支払う必要があります。その分、地主が得られる収益は少なくなります。業務委託方式は事業用定期借地方式より収益性が高いため、管理の手間がかかっても利益を求める方におすすめです。
なお、管理をすべて自己管理する場合、このデメリットがなくなります。
メリット | ・管理の負担が軽減される ・サイドビジネスとして行える |
デメリット | ・手数料を支払う必要がある |
リースバック方式
リースバック方式は、自己所有のコンテナを業者に借り上げてもらい収益を得る方式です。土地やコンテナの名義はオーナーですが、経営は専門業者が行います。
メリットは、土地の所有者が手間をかけずに賃料を得られることです。また、専門業者が経営をするため、初心者に比べてトランクルームの稼働状況が安定しやすいでしょう。
しかし、初期費用を土地の所有者が負担するデメリットがあります。トランクルーム経営の初期費用は安いとされていますが、200〜800万円ほどの資金を用意しなければなりません。初期費用については後述します。
メリット | ・経営の手間がまったくかからない ・手間なく賃料を得られる ・初心者でも始めやすい |
デメリット | ・初期費用を土地の所有者が負担する |
トランクルーム投資の収入と支出
収入と支出がわかると、トランクルーム投資をしてもよいのかの判断ができるようになります。
ここでは、以下の4つの項目を紹介します。
- トランクルーム経営の年収
- トランクルーム経営の初期費用
- トランクルーム経営のランニングコスト
- トランクルーム経営の利回り
それぞれ順番に見ていきましょう。
トランクルーム経営の年収
トランクルーム経営の年収は、ビジネスモデルやコンテナの導入数によって変わります。
そのため一概にはいえません。
ただし、屋外型のコンテナの貸出料は1ヶ月2,000〜7,000円、大きいサイズでは20,000〜30,000円が目安です。また、屋内型のコンテナだと、1ヶ月あたり3,000〜20,000円ほどが平均です。
たとえば、8人の利用者に対して1スペースあたり11,000円でコンテナを貸し出すと、売上は以下のように計算できます。
月売上:1.1万円×8人=8.8万円
年売上:8.8万円×12ヶ月=105.6万円
上記の数値を参考にして売上をシミュレーションしてみてください。
トランクルーム経営の初期費用
トランクルーム経営の初期費用は200〜800万円とされています。
その内訳は以下の通りです。
費用項目 | 費用 |
トランクルーム本体 | 60〜100万円/台 |
トランクルーム設置 | 80〜100万円 |
整地 | 10,000〜15,000円/坪 |
防犯カメラ | 約30万円 |
看板 | 約10〜20万円 |
運搬 | 10,000〜30,000円 |
たとえば、20坪の土地にコンテナを2台設置する場合の初期費用は約307万円になります。
- トランクルーム本体:約150万円
- トランクルーム設置費用:80万円
- 整地費用:30万円
- 防犯カメラ設置費用:約30万円
- 看板設置費用:約15万円
- 運搬費用:20,000円
トランクルーム経営の初期費用は、ビジネスモデルや導入するコンテナの数によって異なるため、一概にはいえません。
そのため、自分の土地の大きさやコンテナの導入数を決めて、シミュレーションをする必要があります。
トランクルーム経営のランニングコスト
トランクルーム経営のランニングコストも一概にいえません。
ビジネスモデルや土地の大きさによって、ランニングコストが変わるためです。
トランクルーム経営のランニングコストは、主に以下の通りです。
- 固定資産税:固定資産税評価額の1.4%
- 管理費:売上の15〜20%
- 人件費:1,000円~/時給
- 光熱費:1万円~/月
たとえば、固定資産税評価額が200万円の土地でトランクルーム経営を行い、月の売上を10万円とした場合、ランニングコストは月5.2万円ほどになるイメージです。
- 固定資産税:7,000円
- 管理費:2万円
- 人件費:1.5万円
- 光熱費:1万円
※固定資産税は年4回にわけて支払うため、ここでは7,000円(=2.8万円÷4)で計算する
また、人件費をかけない場合は、3.7万円までランニングコストが下がります。
上記のようなランニングコストがかかることを考慮して、トランクルーム経営を行ってください。
トランクルーム経営の利回り
トランクルーム経営の利回りは15〜25%ほどです。
たとえば、屋内型のコンテナを設置して、1スペースあたり11,000円/月を8人から得ていた場合の利回りを計算してみます。なお、初期費用を350万円、ランニングコストを以下のように仮定します。
1ヶ月あたりのランニングコストの内訳
- 固定資産税:7,000円(土地の固定資産税を200万円と仮定し、2.8万円を4分割している)
- 管理費:1.1万円
- 人件費:1万円
- 光熱費:1万円
年間売上:1.1万円×8人×12ヶ月=105.6万円
年間コスト:2.8万円+(1.1万円+1万円+1万円)×12ヶ月=40万円
- 表面利回り:105.6万円÷350万円×100=約30.2%
- 実質利回り:(105.6万円-40万円)÷350万円×100=約18.7%
表面利回りとは、初期投資に対してどのくらいの年間収益を得られるか示す数値です。実質利回りとは、初期投資に加えて、税金や管理費などのランニングコストも考慮した数値を指します。
前項で述べた年収や初期費用、ランニングコストを基に計算すると、経費を差し引いた実質利回りは約18.7%になりました。
このように利回りをシミュレーションして、値段を設定するとよいでしょう。
トランクルーム投資に失敗しない3つのポイント
トランクルーム投資に失敗しないためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
- 土地周辺に見込み顧客がいるかを把握しておく
- 集客の方法を綿密に考えておく
- 顧客に合わせたプランを用意しておく
なぜ、上記のポイントを押さえると、トランクルーム投資に失敗しなくなるのかを紹介していきます。
1. 土地周辺に見込み顧客がいるかを把握しておく
トランクルーム経営に失敗しないためには、土地周辺に見込み顧客がいるのかを事前に把握しておきましょう。
見込み顧客がいないのにトランクルームを設置しても、利用者が現れず、収益を得られないためです。
トランクルーム経営の見込み顧客は、自宅に物を置くスペースがない方です。家財が多くなりやすいファミリー層や、置き場所が少ないアパート暮らしの層などがターゲットになります。
そのため、コンテナを設置予定の土地の周辺に、アパートが建っているか、家族層が暮らしているかを調査しましょう。
地域住民にアンケートを取ったり、大通りでどのような層が多いのかを調査したりすると、どのような住民が住んでいるのか把握しやすいでしょう。
2. 集客の方法を綿密に考えておく
集客の方法を綿密に考えておくことも重要です。
トランクルーム業界は競合他社が増えやすいため、集客方法を綿密に考えないと、他社に顧客を取られる恐れがあります。
オフラインならば看板やのぼりを設置したり、チラシを配ったりするのがよいでしょう。オンラインの場合は、GoogleMap上での上位表示を目指すMEOが効果的です。
MEOの場合は、利用者にGoogleMapで口コミを書いてもらったり、SEOにより自社のWebサイトの訪問者を増やしたりすると、上位表示され認知が高まるでしょう。
さまざまな集客の手法を講じると、顧客が増えて稼働率が上がり、失敗しにくくなります。
3. 顧客に合わせたプランを用意しておく
トランクルーム経営を失敗しないためには、顧客に合わせてプランを用意しておくことが大切です。
顧客のなかには、長期ではなく短期で利用したい方もいます。たとえば、2〜3月の引っ越しシーズンには、長期ではなく2〜3日だけ家財を預けたいと考える方もいるでしょう。
このようなニーズに合わせて、日割りプランや3日プランなどを用意しておくと、顧客を取りこぼさなくなります。
トランクルームのニーズは地域や時期によって異なります。アンケートを取ったり、既存の利用者に聞いたりして顧客のニーズを把握しましょう。
トランクルーム経営が儲からないことについてのよくある質問
トランクルーム経営が儲からないことについてのよくある質問に回答します。
具体的な質問は、以下の3つです。
- トランクルーム経営に将来性はありますか?
- トランクルーム経営が人気な理由は何ですか?
- 田舎でトランクルームの需要はありますか?
順番に説明します。
トランクルーム経営に将来性はありますか?
トランクルーム経営に将来性はあります。
株式会社キュラーズの調査によると、トランクルーム業界の市場規模は2008年に270億円、2020年に670億円、2026年に1,000億円になる見込みです。
この背景には、テレワークやオンライン学習などが始まって居住環境が変化し、新たな収納ニーズが生まれたことがあります。
このため、今後トランクルームの店舗は増えていくでしょう。ただし、競合他社が増えるため、経営が難しくなるといえます。
参考:PRTIMES
トランクルーム経営が人気な理由は何ですか?
トランクルーム経営が人気な理由には、以下の3つが挙げられます。
- 初期費用が安い
- 運用コストが低い
- 管理の手間がかからない
トランクルーム経営では建物を建てる必要がなく、空き地にコンテナを設置するだけです。そのため、賃貸アパートや店舗ビジネスに比べて、初期費用が安価です。
水道や電気を多く使用したり、人が常駐していたりする必要がないビジネスなので、運用コストも多くかからないでしょう。また、利用者が頻繁に出入りするケースは少ないため、管理の手間もかかりません。
田舎でトランクルームの需要はありますか?
田舎でトランクルームの需要は大きくありません。
都心に比べて土地が広く、収納スペースを確保できるケースが多いためです。自宅で物を保管できるならば、トランクルームを利用する必要がありません。
一方で、都心のマンションが多く建っている地域では、収納スペースを確保するのが難しい可能性があります。
そのため、トランクルーム経営を行うならば、都会にしたほうが収益が安定しやすいでしょう。
トランクルーム経営が儲からないなら他のビジネスにも注目しよう
トランクルーム経営は初期費用が安く、管理の手間がかからないため、比較的参入しやすいビジネスといえます。
しかし、その分競合他社が増えており、価格競争が激化しやすいため、儲からない可能性があります。
土地活用に収益性を重視する方は、他のビジネスにも注目することが大切です。
たとえば、コインランドリー経営ならば収益性が高く、安定的に儲けることが可能です。
エレクトロラックス・プロフェッショナルでは、コインランドリー経営の初期費用の抑え方や、収益を安定させる方法を伝えています。
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