タンブル乾燥とは、ドラムを回転させながら熱風を吹きつけて、洗濯物を乾かす方法です。コインランドリーに置かれている乾燥機のほとんどがタンブル乾燥機(タンブラー乾燥機)になります。
タンブル乾燥機なら、濡れた洗濯物を30分〜1時間でふっくらと乾かせるでしょう。しかし、洗濯物の中には、タンブル乾燥ができないものもあります。
本記事では、タンブル乾燥できる衣類の見分け方や、乾燥できない衣類の例をご紹介します。誤って乾燥機にかけてしまった衣類を復活させる方法も解説しますので、お困りの方は参考にしてみてください。
タンブル乾燥(タンブラー乾燥)とは何か?
タンブル乾燥(タンブラー乾燥)とは、衣類を回転させながら、熱風に当てて乾かす方法のことです。コインランドリーには洗濯機と合わせて設置されており、洗濯したばかりの衣類を短時間で乾かせます。
タンブル乾燥のメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
- 【メリット】乾くのが早い
- 【デメリット】縮んだり型くずれしたりしやすい
【メリット】乾くのが早い
タンブル乾燥機を使うと、30分〜1時間で衣類がカラッと乾きます。乾燥された洗濯物はふっくらとやわらかい質感になり、まるで天日干ししたような仕上がりです。雨の日が続いて洗濯物が干せないときや、自宅に浴室乾燥機がないときは、積極的に利用してみましょう。
また、タンブル乾燥機は雑菌・ダニの駆除にも効果的です。湿度の高い環境を好む雑菌や、高温に弱いダニなどを取り除き、衣類を清潔な状態に保てるでしょう。とくに、布団や毛布など洗濯頻度が低いものは、乾燥機に入れるのがおすすめです。
【デメリット】縮んだり型くずれしたりしやすい
タンブル乾燥機は、洗濯物に与えるダメージが大きくなります。天日干しと違って、短時間で熱風を当てて乾かすため、素材によっては縮んだり型崩れを起こしたりするでしょう。おしゃれ着のように、高価な衣類が傷んでしまうのはショックですよね。
タンブル乾燥機を使う前には、必ず洗濯表示をチェックしましょう。乾燥できない衣類は、タンブル乾燥機ではなく、天日干しや陰干しがおすすめです。
コインランドリーに乾燥できる衣類・できない衣類の両方を持っていきたい場合は、洗濯ネットが活用できます。自宅で洗濯物を分類してからコインランドリーに行くことで、取り違えを防げるでしょう。
タンブル乾燥に関係する洗濯表示マーク
タンブル乾燥に関係する洗濯マークは、3種類あります。マークと表示内容を次の表にまとめたので、乾燥の前にチェックしてみましょう。
コインランドリー対応 | マーク | 名称 |
可能 | ![]() |
高温乾燥可(最高80℃) |
![]() |
低温乾燥可(最高60℃) | |
不可 | ![]() |
乾燥禁止 |
乾燥できる衣類のマーク
![]() |
![]() |
乾燥できる衣類には、「乾燥OK」を意味する上記マークのどちらかがつきます。黒丸2つのマークは「高温乾燥可」で80℃まで、黒丸1つは「低温乾燥可」で60℃までなら乾燥が可能です。コインランドリーの乾燥機では、温度が高温・中温・低温から選べます。高温乾燥可なら中温まで、低温乾燥可なら低温に設定するのがおすすめです。
高温は布団や毛布など、分厚くて乾きにくいものに適しています。一般的な衣類には温度が高すぎるので、使わないよう注意しましょう。
乾燥禁止のマーク
乾燥禁止を意味するのは、乾燥機にバツ印がついたマークです。衣類によっては、文字で「乾燥禁止」や「乾燥できません」などと表記されることもあります。このような表記がある衣類は、タンブル乾燥機に入れてはいけません。
乾燥禁止マークがつけられる衣類は、ほとんどが色落ちや型崩れしやすい素材です。早く乾かしたい場合でも、自宅で干すことをおすすめします。
タンブル乾燥に関係するマークは、2016年の洗濯表示改定により追加されました。洗濯表示を見ることで、衣類へのダメージを防げるので、乾燥前にチェックする習慣をつけましょう。
見たことのない洗濯表示マークが出てきたときは、消費者庁のページで調べるのがおすすめです。
タンブル乾燥できない衣類6選
タンブル乾燥に適さない衣類の具体例を、次にまとめました。
- おしゃれ着
- 肌着類
- 装飾品がついたもの
- 革製品
- 靴類
- 食用油・エステオイルのついたもの
乾燥機を使えない衣類については、別記事も参考にしてみてください。
関連記事:コインランドリーの乾燥機を使う前に!ダメなもの・洗濯マークを解説
おしゃれ着
おしゃれ着と呼ばれる衣類は、デリケートな素材で作られているため、乾燥に不向きです。多くのおしゃれ着やドレスには、シルクやウールなどの素材が使われています。このような素材は熱に弱いため、乾燥機に入れないよう注意しましょう。
仮に乾燥してしまった場合、生地が縮んだり、型崩れしたりします。変色を起こす恐れもあるので、乾燥機にかけてしまったら再度着るのは難しいでしょう。また、さらさらとした手触りもなくなり、全体が毛羽立って質感がなくなります。
肌着類
下着やストッキング類は、肌触りをよくするため、やわらかい素材が使われます。伸縮性にも優れている分、熱に弱いため、乾燥機には向きません。
とくに、女性用の下着にはデリケートな素材が使われています。乾燥機にかけると着用が難しくなるため、洗濯後は自宅で陰干しをしましょう。
また、コインランドリーに下着を持っていくのは、プライバシーの観点からおすすめしません。どうしても洗濯したい場合は、中身が見えにくい洗濯ネットを使いましょう。
下着の洗濯・乾燥については、別記事でも解説しています。
関連記事:コインランドリーで下着は洗える?洗濯のやり方や注意点を解説
装飾品がついたもの
ボタンやビーズなどの装飾品がついた衣類や、プリントのある衣類を乾燥するのは推奨しません。装飾品つきの衣類は、乾燥中に他の衣類と引っかかり、取れるリスクがあります。加えて、装飾品が乾燥機に入り込むと、故障することも少なくありません。
また、プリントつきの衣類は、乾燥機に入れるとプリントがひび割れます。洗濯機でもプリントが剥がれるため、可能な限り手洗いするのがおすすめです。洗濯機に入れたい場合は、洗濯ネットに入れましょう。
革製品
革製品を乾燥機に入れると、質感が失われてパリパリになります。縮んで型崩れしたり、ひび割れたりするので、熱による乾燥には適しません。同様に、ドライヤーやストーブに当てて乾かすのもNGです。
また、革製のジャケットやパンツだけでなく、財布やキーケースなどにも注意しましょう。乾燥機を使う前に、上着やズボンのポケットに、革製品が入っていないかチェックしてください。うっかり回収を忘れると、質感が台無しになります。
靴類
コインランドリーの乾燥機や洗濯機に、靴を入れるのはマナー違反です。店舗に設置されている、靴専用の洗濯乾燥機「スニーカーランドリー」を使いましょう。
スニーカーランドリーの洗濯機にはブラシがついているため、軽い汚れであれば洗濯するだけで落とせます。また、乾燥機は大人用の靴を同時に4足乾燥可能です。
ただし、水に弱い革靴や、物理的に収まらない長靴は洗濯できません。また、劣化のひどい靴を入れると、洗濯中に破損する恐れもあります。
靴の洗濯については、別記事も参考にしてみてください。
関連記事:コインランドリーで靴が洗濯・乾燥できる!使い方や注意点を解説
食用油・エステオイルのついたもの
タンブル乾燥機に油のついたものを入れると、発火する恐れがあります。ガスで高温の熱風を出し、回転させながら洗濯物を乾燥させる仕組み上、油がついたままだと発火しやすくなるのが原因です。
実際に、食用油やエステオイルのついたタオルを乾燥した結果、火事に発展した事例もあります。油汚れのついたものは、乾燥機に入れないよう注意しましょう。
コインランドリーでタンブル乾燥機を使う3つの手順
コインランドリーでタンブル乾燥機を使う際は、次の手順を参考にしてみてください。
- 空いている乾燥機を探す
- 洗濯物と料金を入れる
- 運転が終わったら取り出す
乾燥機を使う手順について詳しく知りたい方は、別記事も参照してみてください。
関連記事:コインランドリーの乾燥機の使い方は?温度や料金・時間の目安などを解説
空いている乾燥機を探す
最初に、空いている乾燥機を探しましょう。先に洗濯を済ませたい場合は、洗濯機の空きを探してください。
空いている乾燥機が複数ある場合は、前の人が使ってから間もないものを選ぶのがおすすめです。残熱のある乾燥機は、温まるまでの時間が短いため、相対的に乾燥の時間を長く取れます。
空きがない場合は、20〜30分待つことになるでしょう。乾燥機を使う際は、時間に余裕を持っていくのがおすすめです。
洗濯物と料金を入れる
洗濯物を乾燥機に入れたら、ドアを閉めて、料金を投入しましょう。乾燥機の料金は6〜10分につき、100円必要です。サイズが大きいほど料金が高くなるので、洗濯物が多いときは小銭を多めに用意しましょう。
また、乾燥機によって、1度に乾燥できる洗濯物の量は決まっています。ドアに書いてあるラインを超えないように洗濯物を入れましょう。洗濯物が多いときは、複数の乾燥機を使ったり、大きいサイズの乾燥機に移したりしましょう。
運転が終わったら取り出す
乾燥機は、時間が来ると自動で止まります。ドアを開けて、洗濯物の乾き具合を確認しましょう。少し湿っていると感じたら、料金を追加しても構いません。
また、乾燥の途中でドアを開ければ、途中で運転を止めることも可能です。ただし、熱を持った洗濯物が飛び出してくるため、一気に開けるのは避けましょう。ドアを少し開けて、回転が止まるまで待つと安全です。
洗濯物が十分に乾いたら、洗濯物を取り出して持ち帰りましょう。たたみたい場合は、コインランドリーの机を使うのがおすすめです。
乾燥禁止の衣類を乾燥機に入れてしまったときの対処法3選
乾燥できない衣類を乾燥機に入れて、気づかないまま乾燥してしまう場合もあるでしょう。そのようなときは、次の対処法を試してみてください。
- 運転を停止して取り出す
- アイロンで伸ばす
- コンディショナーで形を戻す
運転を停止して取り出す
乾燥機の運転中、乾燥禁止の衣類を入れたことに気づいた場合は、乾燥機の運転を止めましょう。タンブル乾燥機は、ドアを開けると自動的に運転が止まる仕組みです。慌てずに運転を停止し、乾燥禁止の衣類を取り出しましょう。
ただし、乾燥機のドラムが高速回転している場合は、要注意です。回転が早いうちにドアを開けると、中の洗濯物が勢いよく飛び出します。洗濯物とはいえ、顔や腕などの素肌に触れれば、火傷を負う熱さです。ドアを少しだけ開けて、回転が収まるまで待ちましょう。
アイロンで伸ばす
乾燥機に入れて縮んだり、シワが寄ったりした衣類は、アイロンで伸ばせる可能性があります。次の手順で、衣類にアイロンを当ててみましょう。蒸気の出るスチームアイロンに、水を入れてから始めてください。
- シワや縮みのある箇所に蒸気を当てる
- 火傷に注意しながら、蒸気が当たった場所を手で揉む
- 揉んだ後にアイロンを10秒ほど軽く当てる
アイロンを当てる際は、短時間で放すよう意識しましょう。あまり長い時間当て続けると、衣類が焦げる恐れもあります。
また、スチームでシワが伸びきらないときは、霧吹きで湿らせるのがおすすめです。アイロンの蒸気よりも、水滴が大きい霧吹きを使うことで、シワを伸ばしやすくなります。加えて、直接熱が当たらないよう、当て布をするとよいでしょう。
コンディショナーで形を戻す
縮んだ衣類は、コンディショナーで伸ばすことが可能です。一部のコンディショナーには、髪を刺激から守るため「ジメチコン」という成分が含まれています。ジメチコンが衣類の繊維を保護するため、縮んだ繊維が元通りに伸びる仕組みです。
コンディショナーを使った縮み伸ばしは、次の手順で進めましょう。
- 洗面器にぬるま湯を張る
- コンディショナーを3プッシュほど入れて溶かす
- 縮んだ衣類を入れ、30分ほど放置する
- すすいでから陰干しする
コンディショナーを使う方法は、ウールやカシミヤ、アンゴラのような天然繊維に効果的です。一方、化学繊維には効果が薄いため、別の方法を使いましょう。
タンブル乾燥できない衣類を乾かす3つの方法
タンブル乾燥できない衣類は、次の方法で乾かすのがおすすめです。
- 自然乾燥させる
- 浴室乾燥機を使う
- 静止乾燥機のあるクリーニング店に依頼する
自然乾燥させる
乾燥禁止の衣類を乾かす方法のうち、もっとも簡単なのが自然乾燥です。洗濯が終わった衣類をハンガーにつるしたり、物干し竿にかけたりして、風通しのよい場所で乾燥させます。
一般的な衣類は、天日干しの方が早く乾くでしょう。乾燥機と違って、熱や風を加えないので、衣類へのダメージを最小限に抑えられます。ただし、傷みやすい素材は紫外線でもダメージを受けてしまうため、陰干しがおすすめです。
浴室乾燥機を使う
浴室に乾燥機がある家庭は、浴室で洗濯物を干すことが可能です。本来は浴室内の湿気を取るものですが、濡れた洗濯物の乾燥にも使えます。
単純な部屋干しや日陰干しよりも乾きやすく、仕上がりもカラッと乾くため、雨の日には重宝するでしょう。また、シワができにくくなる効果もあります。
ただし、自然の風や日光を利用する天日干しと違い、人為的に乾きやすい環境を作るため、電気代がかかることが難点です。
静止乾燥機のあるクリーニング店に依頼する
クリーニング店には、衣類を干したまま乾燥できる「静止乾燥機」が設置されています。クローゼットの中に衣類を配置し、まとめて乾かすため、天候に関係なく乾燥が可能です。タンブル乾燥できない衣類も、傷めることなく乾かせます。
コインランドリーで洗濯しにくいスーツやジャケットのような衣類は、クリーニング店に依頼して洗濯・乾燥しましょう。別の方法として、つるしたまま乾燥できるグッズを利用する方法もあります。
まとめ:タンブル乾燥機を使う前は洗濯表示マークを確認しよう
タンブル乾燥は、コインランドリーに設置されている乾燥機に採用されている仕組みです。洗濯物を回転させながら熱風を当てることで、濡れた洗濯物を効率的に乾かせます。
タンブル乾燥機は便利な一方、熱に弱い衣類を傷めるリスクもあります。デリケートな素材のおしゃれ着や肌着類、革製品などは乾燥できません。乾燥機に入れてしまった場合は、アイロンやコンディショナーを使ってシワを伸ばしましょう。
お気に入りの服を傷めないためにも、洗濯表示マークを確認してから、乾燥機に入れてみてください。