「ドライクリーニングで何を落とせるの?」
「ドライクリーニングって家でできるの?」
このような悩みがある方もいるのではないでしょうか。
衣類をドライクリーニングすると、生地を傷めずに汚れを取ることが可能です。
デリケートな衣類の洗濯に最適な手法ですが「なぜ生地を傷めないの?」と問われると答えられない方もしばしばいます。
そこで本記事では、ドライクリーニングの概要やメリット・デメリット、注意点などを詳しく解説します。
ドライクリーニングに対する理解が深まり、衣類を適切に洗えるようになるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
ドライクリーニングとは?
ドライクリーニングとは、化学溶剤を使って、油性の汚れを取り除く洗濯方法です。水洗いで傷みやすい衣類を洗うのに適しています。
以下に概要をまとめました。
使われる化学溶剤 | ・フッ素系溶剤 ・石油系溶剤 ・パークロロエチレン ・ベクセルクリン ・シリコーン溶剤 ・ソルカン |
向いている素材 | ・ウール ・シルク ・カシミヤ ・麻 ・レーヨン ・キュプラ |
上記のような化学溶剤を使用するため、家庭用洗濯機でドライクリーニングは行えません。
クリーニング店や有人コインランドリーなどで依頼する必要があります。
ドライクリーニングはクリーニング屋でできる
以下の条件を満たす必要があるため、ドライクリーニングはクリーニング屋へ依頼するのが一般的でしょう。
- クリーニング師の免許の取得
- 有機溶剤作業主任者の資格の取得
- クリーニング師の常駐
コインランドリー経営では資格や免許がいらないので、オーナーが持っていない可能性があります。
法律的な観点からクリーニング屋でしかできないケースが多くあります。
ドライクリーニングのメリット
本章を読むと、なぜドライクリーニングをかけたほうがよいのかわかります。
ここではメリットを2つ紹介します。
- 型崩れや色落ち、縮みなどを防げる
- 脂溶性の汚れをしっかり落とせる
それぞれ順番に見ていきましょう。
型崩れや色落ち、縮みなどを防げる
衣類の型崩れや色落ち、縮みなどを防げることが、ドライクリーニングの魅力です。
ウールやカシミヤ、シルクなどの水に弱い素材は、洗濯で傷みやすいとされています。
たとえば、ウールを水洗いすると、繊維表面のスケールと呼ばれるうろこ状の層が開きます。
その状態で揉み込むと、繊維同士が絡まり、型崩れする可能性があるのです。
しかし、ドライクリーニングは水ではなく化学溶剤を使うため、生地にダメージを与えることなく、洗えます。
脂溶性の汚れをしっかり落とせる
ドライクリーニングには、脂溶性の汚れをしっかり落とせるメリットがあります。
脂溶性とは、水には溶けないですが、油脂やアルコールには溶けやすい性質のことです。食用油や油性インク、化粧品などの汚れが当てはまります。
水洗いは脂溶性の汚れにほとんど効果がありません。
しかし、ドライクリーニングに使われる化学溶剤は、脂溶性の汚れに反応するため、しっかりと取り除くことが可能です。
ドライクリーニングのデメリット
ドライクリーニングには、主に以下の2つのデメリットがあります。
- 水溶性の汚れを落としにくい
- 不快な臭いが残る場合がある
本章を読むと、ドライクリーニングが適していないケースを把握できます。
水溶性の汚れを落としにくい
ドライクリーニングは、化学溶剤を使うため、水溶性の汚れには反応しません。
水溶性とは水に溶ける性質を指します。果汁や飲み物、汗、尿、手垢などの汚れが水溶性に当てはまります。
上記のような汚れを落とす場合は、洗濯機での水洗いが必要です。コインランドリーや自宅の洗濯機を使いましょう。
不快な臭いが残る場合がある
ドライクリーニングをすると、石油のような臭いが衣類に残る可能性があります。
衣類の乾燥不足により、化学溶剤が蒸発せず残留することが原因です。対策としては、吊るし干しや消臭スプレーの使用、水洗いなどが挙げられます。
クリーニング屋に相談しても対応してもらえるでしょう。
ただし、ドライクリーニング後は衣類が十分に乾燥されていて、臭いが気にならないことがほとんどです。そのため、大きなデメリットとはいえません。
ドライクリーニングのマーク(洗濯表示)
ドライクリーニングの前には、衣類のドライマークを確認しましょう。どのようなクリーニング方法が向いているのか判断できます。
ドライマーク(洗濯表示)を以下にまとめました。
洗濯表示 | 使える溶剤 | ドライクリーニングの可否 |
![]() |
・パークロロエチレン ・ジブトキシメタン |
ドライクリーニングが可能 |
![]() |
・パークロロエチレン ・ジブトキシメタン |
弱めのドライクリーニングが可能 |
![]() |
・石油系溶剤 ・デカメチルペンタシクロシロキサン |
ドライクリーニングが可能 |
![]() |
・石油系溶剤 ・デカメチルペンタシクロシロキサン |
弱めのドライクリーニングが可能 |
![]() |
なし | ドライクリーニングは不可 |
ドライクリーニングは自宅でできる?
ドライクリーニングは家でできません。専用の化学溶剤や機材の使用、免許や資格の取得が求められるためです。
ただし、ドライマークのある衣類は、自宅でも洗濯可能です。そこで本章では、自宅で繊細な衣類を洗濯する際のポイントを2つ紹介します。
- ドライマークのある衣類は家庭でも洗える
- 家庭用洗濯機の「ドライコース」はドライクリーニングではない
それぞれ順番に見ていきましょう。
ドライマークのある衣類は家庭でも洗える
ドライマークがある衣類は、家庭用の洗濯機でも洗えます。
ドライマークは「ドライクリーニングを推奨するもの」であり、強制するものではありません。
ドライマークがある衣類を水洗いしても、問題ない場合がほとんどです。
ただし、繊細な素材であることに変わりはないため、弱い水流や脱水力で洗浄する必要があります。
洗浄力のあるコースで洗濯すると、縮みや色落ち、型崩れなどにつながります。
洗濯機の「ドライコース」や「手洗いコース」などを選ぶのが望ましいでしょう。
家庭用洗濯機の「ドライコース」はドライクリーニングではない
家庭用洗濯機の「ドライコース」は、通常コースよりも弱い水流と脱水力で洗う手法を指します。
生地へのダメージを抑えて洗濯できるため、ウールやシルク、カシミヤなども洗いやすいことが特徴です。
ただし、ドライコースでは化学溶剤を使用しません。あくまで水洗いのため、脂溶性の汚れを落とすことは不可能です。
生地へのダメージが少ない点は、ドライクリーニングと同じですが、洗浄方法と落とせる汚れの種類が異なります。
ドライクリーニングをしたほうがよい製品
ドライクリーニングをしたほうがよい製品がわかると、ドライマークを都度確認する必要がありません。
ドライクリーニングに向いている製品は、次の2つです。
- 水洗いに弱い製品
- 高級な製品
それぞれ順番に紹介します。
水洗いに弱い製品
ドライクリーニングは、水洗いに向いていない製品におすすめです。
主に以下の素材を使った製品を指します。
素材 | 製品事例 |
ウール | セーターやカーディガン、コート |
シルク | ブラウスやシャツ、着物 |
カシミヤ | セーターやカーディガン、コート |
麻 | シャツやブラウス、ワンピース |
レーヨン | シャツやブラウス、ワンピース |
キュプラ | コートやスーツ |
水に弱い製品には、洗濯による縮みや色落ち、型崩れなどのリスクがあります。ドライクリーニングにより、製品が傷まないように洗うことが大切です。
高級な製品
ブランド品やウエディングドレスなどの高級品には、ドライクリーニングが最適です。
洗濯機や乾燥機にかけると、摩擦や高温により生地が傷むでしょう。
しかし、ドライクリーニングだと、化学溶剤が摩擦を軽減させるため、衣類への負担が少なくなります。
また、クリーニング屋によっては、色落ちや傷を目立たなくさせるサービスを展開している場合があります。
高級品を長く大切に使用するためにも、洗うときはドライクリーニングがおすすめです。
ドライクリーニングを依頼する際の注意点
ドライクリーニングの注意点を把握して、利用時に失敗しないようにしましょう。
注意点は次の2点です。
- コインランドリーより料金が高い場合がある
- 洗濯が完了するまで時間がかかる
コインランドリーとの違いにも注目しながら、それぞれ紹介します。
コインランドリーより料金が高い場合がある
クリーニング屋でのドライクリーニングの料金は、150〜5,000円/枚(税込)です。
コインランドリーの料金との違いを以下にまとめました。
◾️コインランドリー
容量 | 料金相場(税込) |
5〜10kg | 300〜500円 |
11~16kg | 500~800円 |
17〜24kg | 1,000~1,200円 |
25〜32kg | 1,100~1,500円 |
◾️ドライクリーニング
容量 | 料金相場(税込) |
Yシャツ | 150〜200円 |
ジャケット | 900〜1,200円 |
ワンピース | 1,300〜1,500円 |
コート | 2,600〜3,000円 |
ダウンジャケット | 3,500〜4,000円 |
ダウンコート | 4,500〜5,000円 |
※料金は店舗により異なります。
ドライクリーニングの料金は、コインランドリーでの洗濯に比べて、おおむね高いことがわかります。
関連記事:コインランドリーの料金はどのくらい?安く利用する5つのコツも解説
洗濯が完了するまで時間がかかる
ドライクリーニングは、コインランドリーでの洗濯に比べて時間がかかります。
コインランドリーの洗濯時間が75〜150分なのに対して、ドライクリーニングは次の通りです。
- スーツやワイシャツ:1〜2日
- コートやセーター:5〜7日
- ダウンジャケット:7〜14日
洗濯の完了を急いでいる場合は、コインランドリーを利用するのが望ましいでしょう。
関連記事:コインランドリーの所要時間はどのくらい?待ち時間の過ごし方も解説
ドライクリーニングに関するよくある質問
ドライクリーニングに関するよくある質問がわかると、利用するときに迷わなくなります。
よくある質問は次の3つです。
- ドライクリーニングはコインランドリーでできますか?
- ドライクリーニングはホテルでできますか?
- スーツやワイシャツはドライクリーニングできますか?
順番にご覧ください。
ドライクリーニングはコインランドリーでできますか?
コインランドリーでドライクリーニングは、基本的にできません。
前述しましたが、クリーニング師の免許や有機溶剤作業主任者の資格を取得したスタッフを常駐させる必要があるためです。
コインランドリーは無人店舗が多いため、ドライクリーニングができる条件を満たしていません。
ただし、有人コインランドリーで、条件をクリアしている場合は、ドライクリーニングが可能です。
関連記事:ドライクリーニングできるコインランドリーはある?家庭でも洗える?
ドライクリーニングはホテルでできますか?
大手ビジネスホテルや高級ホテルでは、ドライクリーニングができる場合があります。
ビジネスパーソンが日常的に宿泊していたり、ホテル内で宴会や会議、結婚式が開かれたりすると、スーツやドレスの洗濯が求められます。
そのため、ホテルによってはクリーニング師が常駐しており、ドライクリーニングの依頼が可能です。
たとえば、韓国の老舗ホテルグループの「LOTTE Hotels & Resort」には、ドライクリーニングサービスがあります。
スーツやワイシャツはドライクリーニングできますか?
スーツやワイシャツには、ウールやシルクが使われている場合があるため、ドライクリーニングがおすすめです。
ウールもシルクも水に弱いため、洗濯すると型崩れやシワにつながります。ただし、生地にコットン(綿)が使われていると、ウェットクリーニングができる場合もあります。
そのため、スーツやワイシャツの洗濯前には、洗濯表示を確認することが大切です。
まとめ
ドライクリーニングとは、化学溶剤を使って、脂溶性の汚れを取り除く洗濯方法です。水洗いで傷みやすい繊細な衣類を洗うのに適しています。
ドライマークのある衣類をドライクリーニングするときは、クリーニング屋に依頼するのが一般的です。
ただし、ドライマークがあるからといって、必ずドライクリーニングする必要はありません。ウェットクリーニングでも問題ないケースが多くあります。
エレクトロラックス・プロフェッショナルの店舗では、繊細な衣類を優しく洗える洗濯機を設置しています。
ウールやシルクなどを洗おうと考えている方は、ぜひエレクトロラックス・プロフェッショナルの店舗にご来店ください。