業務に関係のある衣類・布製品を洗濯した場合は、コインランドリーの料金を経費に計上できます。領収書を受け取って、記帳する際の証拠書類としましょう。
しかし、無人のコインランドリーでは、領収書の発行方法がやや特殊です。本記事では、コインランドリーで領収書を受け取る方法や帳簿の書き方、勘定科目を解説します。
多くのコインランドリーは領収書発行に対応している
たいていのコインランドリー店舗では、領収書が受け取れます。クリーニング店舗に併設されたコインランドリーのような、スタッフが常駐している店舗なら、レシートや領収書を発行してもらえるでしょう。利用した後だと支払い証明ができないため、利用前に声をかけるのがおすすめです。
一方、無人店舗の場合は、電話やメールなどの方法で領収書を発行します。店舗によっては、領収書発行に対応していないケースもあります。事業関係でコインランドリーを利用する際は、事前に領収書の発行可否を調べましょう。
コインランドリーの料金については、関連記事で詳しく解説しています。
コインランドリーの料金はどのくらい?安く利用する5つのコツも解説
コインランドリーで領収書を発行する5つの方法
無人のコインランドリー店舗で領収書を発行する方法は、主に5つあります。
- コールセンターに電話する
- 決済端末から発行する
- アプリを利用する
- メールで発行を依頼する
- 郵送で受け取る
コールセンターに電話する
コインランドリーが指定する電話番号に連絡し、領収書の発行を依頼する方法です。連絡先の電話番号は、店内やホームページにて確認できます。
電話をかけたら、領収書発行を希望する旨と、利用者氏名・宛名・住所などを伝えましょう。コールセンターの営業時間内であれば、対応してくれます。
ただし、電話で領収書発行を受け付けている場合は、洗濯機や乾燥機を使う前に電話をかける必要があります。利用後に電話をかけた場合は、利用規約違反とみなされ、領収書を発行できません。
決済端末から発行する
キャッシュレス決済が利用できる店舗なら、決済端末から領収書を発行できます。洗濯機や乾燥機に併設されている決済端末を操作して、領収書を発行しましょう。
画面の指示に従えば、決済や領収書発行まで辿り付けます。しかし、機械の操作に慣れない場合や、操作方法がわからない場合は、店内やホームページに設置されている操作案内を参考にしましょう。
近年はキャッシュレス決済の需要が上がったため、決済端末を設置するコインランドリーも増えてきました。行く予定の店舗に決済端末があれば、会社用カードでの決済も可能です。
アプリを利用する
コインランドリー店がアプリを配信しているなら、アプリから領収書が発行できるケースもあります。アプリから自分で領収書を発行できるため、発行を第三者に依頼する必要がありません。発行までの待ち時間もほとんどないでしょう。
また、アプリには運転終了通知や、空き状況の確認など、便利な機能が搭載されています。アプリを活用することで、コインランドリーをより快適に利用できるでしょう。
ただし、アプリを発行しているコインランドリー店は、アプリ経由以外での領収書発行を受け付けていない場合があります。
メールで発行を依頼する
コインランドリー店の中には、メールでの領収書発行に対応している店舗もあります。店内やホームページに記載されたメールアドレス宛てに、領収書の発行依頼をしましょう。メールの文面には、運営会社が指定する内容を記入します。
運営会社によっては、あらかじめ用意されたフォームに情報を記入するケースもあります。また、送信の手間を省くため、店内にQRコードを設置する店舗も少なくありません。
依頼した領収書は、郵送または電子データで送られてきます。電子データの場合は、会社やコンビニのプリンターで印刷しましょう。
郵送で受け取る
メールやアプリから領収書を発行できなくても、郵送で発行依頼ができる場合もあります。店舗内の専用用紙に必要事項を記入し、領収書発行依頼ポストへ投函しましょう。記入した住所宛に、領収書が届きます。
ただし、項目の記入漏れが多いと、領収書の発行ができません。投函する前に記入欄を確認し、内容に不備がないかチェックしましょう。
コインランドリー代を記帳する際の勘定科目
コインランドリー代を経費にする場合の勘定科目は、次の通りです。
- クリーニング費
- 外注費
- 雑費
- 衛生費
- 福利厚生費
クリーニング費
クリーニング費は、コインランドリーやクリーニング店などを利用した際に限り、使える勘定科目です。事務所のカーテンやカーペット、飲食店ののれんなどを洗濯した場合は、クリーニング費として記帳できます。私服やプライベート用のスーツなど、業務目的でないものは含まれません。
会計ソフトのように、あらかじめ勘定科目が用意されているシステムには、クリーニング費に近い科目がないケースもあります。必要に応じて、独立した勘定科目を作成しましょう。
ただし、勘定科目をむやみに増やすのは推奨しません。コインランドリーやクリーニングの利用頻度が高く、ある程度の金額をかけている場合のみ、クリーニング費として計上しましょう。
外注費
外注費は、外部の法人・個人に業務を委託した場合の勘定科目です。業務関係のユニフォームや作業着などの洗濯をコインランドリーに外注した場合は、外注費として処理できます。
クリーニング費と同様、プライベートでコインランドリーを利用した場合は経費計上できません。単に外注費と記帳するだけでなく、利用目的をメモするのがおすすめです。税務調査が入った場合に備えて、使途の証明ができる書類を準備しましょう。
雑費
雑費とは、他の勘定科目に該当しない出費があった場合、限定的に使える勘定科目です。少額で一時的な出費に適用されるため、多額・長期となる出費の仕訳には使えません。
コインランドリーの使用頻度が低く、1度に大量の洗濯物を洗濯・乾燥しない場合は、雑費での計上が認められるでしょう。ただし、コインランドリーを何度も利用した場合や、出費が高額になる場合は、他の適切な勘定科目を使う必要があります。
雑費を高額に設定しすぎると、税務調査で指摘を受けるリスクも無視できません。コインランドリー代を雑費に仕訳する際は、少額・一時的な出費に限定しましょう。
衛生費
衛生費は、顧客の衛生上必要な物品を洗濯した場合に使える勘定科目です。提携する税理士事務所や会計ソフトによっては、「衛生管理費」とも呼ばれます。
次のような業種・物品なら、衛生理費として計上できるでしょう。
- ホテルのシーツ・タオル類
- 美容院のタオル
- 旅館の来客用ゆかた・館内着
ただし、従業員が使用する制服・ユニフォームなどの洗濯料金は、衛生費に含まれません。
福利厚生費
従業員が身に着ける制服や作業着を洗濯する際のコインランドリー代は、福利厚生費として計上します。
福利厚生費は、従業員の労働環境改善を目的とした支出です。業務に直接関係ない物品の提供や手当も、従業員に対する福利厚生とみなされます。
他の勘定科目と同じく、私的利用には適用されません。
コインランドリー代を経費にする際の注意点
コインランドリー代を経費にする際は、次のポイントに注意しましょう。
- 使途を明確にする
- 適正な金額を計上する
- 【個人事業主】按分計上を行う
- 【法人】勘定科目を統一する
- 領収書がもらえない店舗もある
使途を明確にする
経費計上をする際は、業務に関係する出費であるとを証明する必要があります。私服・私物の洗濯ではなく、業務上必要なものだけを洗濯したと証明できない場合は、経費計上できないリスクもあるでしょう。
法人の場合は、出張報告書や旅費明細書を作ることで、使途の証明が可能です。個人事業主は使途証明が難しいため、明らかに業務関係である支出以外は、経費に計上しないよう注意しましょう。
適正な金額を計上する
経費計上する出費には、適正な金額の範囲があります。ルール上、経費計上できる金額には、上限がありません。しかし、あまり金額が高すぎると「業務以外の目的で利用したのではないか」と疑われるリスクもあります。
コインランドリーで大量の洗濯物を洗濯・乾燥して、料金が高額になる場合は、証拠書類を残しましょう。店舗のレシートや宛名入りの領収書などを受け取り、保管するのがおすすめです。また、税理士に相談し、経費計上した金額が適切かを判断してもらうと安心でしょう。
【個人事業主】按分計上を行う
業務に直接関係あるか判断が難しい場合や、業務・プライベートの両方で利用する物品は、按分計上を行いましょう。按分計上とは、個人事業主が業務とプライベートの両方で使用する物品の費用を、合理的な基準で分けることです。
たとえば、業務とプライベートの両方で着用するスーツを、コインランドリーで洗濯した場合を考えます。平日5日間を業務目的、休日2日間をプライベートで着用する場合は、コインランドリー代の7割を経費として計上可能です。
按分計上を行う際は、割合の根拠を明記する必要があります。計算の根拠を帳簿に記録したり、メモしたりしましょう。
【法人】勘定科目を統一する
コインランドリー代を経費計上する際は、社内で勘定科目を統一しましょう。制服の洗濯なら福利厚生費、事業所のカーテンやカーペットを洗濯したら衛生費など、仕訳のルールを作ると効率的です。
部署や担当者によって勘定科目が変わると、正確な内訳の判断が難しくなります。場合ごとの勘定科目を、事前にルールで決めておけば、記帳のたびに悩む必要もありません。また、経理部に連絡して、科目を確認する手間もなくなるでしょう。
領収書がもらえない店舗もある
コインランドリーの店舗によっては、領収書発行を断られるケースもあるでしょう。領収書が発行できない場合は、現金出納帳が証明書類の代わりになります。現金出納帳にコインランドリーの利用日時や金額を記録することで、妥当性の証明が可能です。
近年はメール・決済端末からの領収書発行に対応している店舗が増え、領収書が発行できない店舗は減りました。しかし、昔ながらのコインランドリー店がまだまだ残っているのも事実です。このような店舗を業務目的で利用した場合は、証拠書類を残しておきましょう。
【インボイス制度】コインランドリー代は自動販売機特例の対象
インボイス制度においては、適格請求書(インボイス)でない領収書を、仕入税額控除に利用できなくなりました。しかし、コインランドリーのように取引が機械だけで完結する場合には、自動販売機特例が適用されるケースもあります。
自動販売機特例について知るには、次の項目を押さえておきましょう。
- 自動販売機特例とは
- 自動販売機特例における記帳方法
自動販売機特例とは
自動販売機特例とは、適格請求書の発行が難しい決済において、交付・保存の義務が免除される制度です。
自動販売機で決済を行った場合、領収書や請求書をもらえるケースは稀であり、決済の証明は難しいでしょう。しかし、自動販売機特例の適用対象なら、領収書の保管は必要ありません。
自動販売機特例の対象は、次の2点を満たす機械装置です。
- 代金の支払いと、商品・サービスの譲渡が自動で行われる
- 1つの装置内で、支払いと譲渡が完結する
上の条件を満たす機械装置であれば、3万円未満の取引に限り、領収書や請求書などの保管が免除されます。3万円以上の取引を計上する場合は、保管が必要です。
自動販売機特例における記帳方法
自動販売機特例に該当する取引について記帳する場合は、次の項目が必要です。
- 仕入先の氏名(名称)
- 取引年月日
- 取引内容
- 対価額
- 特例の対象となる旨
上の項目を記載することで、仕入税額控除を受けられます。制度の開始時は仕入先の住所も記載要件に含まれていましたが、令和6年度の税制改正により、不要となりました。
まとめ:事業関係でのコインランドリー利用時は領収書を発行しよう
業務に関係ある制服や布製品を洗濯した際は、領収書をもらいましょう。経費として計上することで、仕入税額控除を受けられます。
無人のコインランドリーでは、電話や決済端末経由で領収書を発行可能です。また、料金が3万円以下であれば。インボイス制度の自動販売機特例が適用されるため、領収書の保管は不要になります。ただし、帳簿への記入を忘れないよう注意しましょう。
業務上、コインランドリーを利用する法人・個人事業主の方は、料金を経費計上できるよう、利用時に領収書を受け取ってください。