コインランドリーの安定した収益は固定客で作られる
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートは「ある事象における8割のものは、2割のものによって生み出される」と説いています。これが有名な「80:20の法則」です。パレートの法則の一部でもあるこの法則は、さまざまなビジネスに当てはめることができ、それはコインランドリーであっても例外ではありません。
では、コインランドリーにおける「2割のもの」とはいったいなんでしょうか? そのうちのひとつが「固定客」です。固定客はコインランドリーの場所を認知しており、かつその利便性についても知っている存在です。そのため、自宅で洗濯が難しいものが出てきた場合や、家事の時短を考えたときにコインランドリーの存在を思い出してくれます。
リピーターとなってくれた固定客はビジネスに大きな売上と収入をもたらします。前述の「80:20の法則」に当てはめてみると、「2割の固定客が8割の収益を生み出す」とも言えるのです。
待ち時間を快適に過ごしてもらうかが重要
固定客を失わないためは、サービスの魅力をお客さまに感じてもらうことと同時に、競合と差別化できるポイントを作っていくことが大切です。しかし、コインランドリーで得られるベネフィットは「洗濯ができる」というものであり、なかなか差は付けられません。そこで重要となるのが「待ち時間中の体験」です。以下で、2つのシチュエーションに分けたポイントをご紹介します。
待ち時間をその場で待つ派のお客さまへの対応
コインランドリーでは、洗濯・乾燥までを行うと量にもよりますが30〜60分程度の時間がかかります。いったん自宅に帰ったり、近くで買い物を済ませたり、待ち時間の過ごし方はさまざま。しかし、意外に多いのが「その場で待つ」というお客さまです。
こうした方に向けては「のんびりとした時間を過ごせた」「近所の人と楽しくおしゃべりができた」といった体験の提供が大きな差別化につながります。実際に、パンケーキの店舗にコインランドリーを併設したり、カフェコーナーを設けたりした店舗もあります。お客さまとしては、「コインランドリーに洗濯に来た」というだけではなく、「カフェにお茶をしに来た」というひと味違った体験が得られるため、リピートにつながる確率も高くなります。
待ち時間を有効活用したい派のお客さまへの対応
コインランドリーは、自宅でこまめに洗濯ができない方や、より時間を有効活用したいといった方に助かるサービスです。こうした人にとっては、利便性や時短効果の実感という体験が満足度に比例します。
たとえば、アプリを用いた終了通知。洗濯や乾燥を開始したあとで外出をする人にとっては、時間を有効活用できて便利です。加えて、現在の洗濯機・乾燥機の空き状況も確認できるなど、時間と手間を無駄にしたくない人にとって至便なサービスと言えるでしょう。
そのほか、ペットを洗って乾かせる設備を用意している店舗も存在しています。衣服の洗濯をしている間にペットのお世話も同時並行で進められるということから、他店にはないメリットをお客さまに提供できています。
固定客化させるために利便性やお得感をプラス
「待ち時間中の体験」は、他店との差別化につながり、ひいては顧客ロイヤリティ向上にも期待が持てます。結果、固定客獲得に大きく貢献してくれるでしょう。一方、できる施策はそれだけに留まりません。アイデア次第では、より高いリピート率を実現することも可能です。
たとえば、多くのコインランドリーではプリペイド式、もしくはチャージ式のICカードを発行している傾向にあります。小銭を用意しなくて済むため便利というのが、この施策の狙いです。しかし、コインランドリーの使用頻度が少ないお客さまからすると、「いつ使うか分からないサービスにお金をチャージするのはちょっと」という懸念もあるはずです。
一方、利用者に無料でポイントカードが発行され、利用すれば利用するほどポイントが貯まりお得になるサービスもあります。このサービスでは、利用者がメールアドレスを登録すると、洗濯終了時にお知らせメールが届いたり、領収書がメールで配信されたりするなど、便利なサービスが受けられるようにもなっています。オーナー側としても、メルマガ配信を使ったリマーケティングなど、固定客獲得へと活用できる点も魅力があるでしょう。チラシなどを使うよりもコストが安く、費用対効果の高さもポイントです。
まとめ
固定客の心をしっかりとつかむことができれば、コインランドリーは安定した売上を生むことができます。そのためには、今回ご紹介したように“お客さまの立場に立った”施策が重要です。これからコインランドリー経営を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。